スタニスワフ・レム No.3◇泰平ヨンの航星日記◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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宇宙版「法螺吹き男爵の冒険」!?

 
 

 
◇泰平ヨンの航星日記◇ -Dzienniki Gwiazdowe-
スタニスワフ・レム 深見弾・大野典宏 訳
 
 
隕石と衝突し、突如操舵不能になった宇宙船。しかも悪いことは重なるもので、なんと船はピンケンバヒヤ重力渦に突入、時間の流れがめちゃくちゃになった結果、月曜日の私からはじまって火曜、水曜、木曜……と無数の私が出現! てんやわんやの大騒動に……広大無辺の大宇宙を旅する泰平ヨンが出会うさまざまな奇想天外・珍無類のできごとを、東欧SF界の巨星レムが奔放な筆致で描きあげた連作短篇集、待望の改訳決定版!
 
 
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「泰平ヨンの航星日記」です(・∀・)
 
 
 
この本は泰平ヨンという男の荒唐無稽な宇宙航星記……と一言で説明してしまうには狭量過ぎるのですが、とりあえず今はそれだけ言っておきます←
 
 
本書は書き上がった作品の未来にしては珍しいことに何度か改訂の手が加えられていると言われています。本書は今まで宇宙版「法螺吹き男爵の冒険」のような位置付けでしたが、タラントガ教授の序文を加えることでレム氏作品に込められている"軽妙なSF"、"ハードSF"、"メタフィクション"の要素を含んだ作品へと昇華させました。
 
 
泰平ヨン氏の冒険は多岐に渡り、タイムパラドクス、文明の不条理性、共同幻想の無根拠性、歴史の不条理性、宗教の根本的な矛盾、技術と権力支配手段の暴走……といった様々な「限界」「矛盾」「不完全性」と出逢います。その文章は非常に難解で読むのはかなり大変でした……← さまざまな宇宙系に赴くので造語も多いので「確かにこれを訳するのは大変だわ……」と思ったり。しかし3作目にしてこれとは先が思いやられるなわたし……
 
 
この泰平ヨンはあまりにも色々なことに出くわしすぎて自分の存在根拠まで疑ってしまう始末ですが、自分が確かに人間として存在していると認識されてくれたのは日記にあるご先祖さまとどんなにたくさんの宇宙が存在してもこれだけは絶対に覆らないある法則でした。本書の最後の一文は宇宙を航星し続けなければならない孤独な男の使命を表してカッコいい。
 
 
「泰平ヨンの航星日記」でした(・∀・)/
次は1人の女を巡って男たちが……(*^o^*)/←