スタニスワフ・レム No.2◇主の変容病院・挑発◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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ドイツ軍の足跡がひたひたと近付き、その一方で架空の(筈の)書物から宇宙と世界を見つめるーーー

 
 

 
◇主の変容病院・挑発◇ -Przemienienia・Prowokacja-
スタニスワフ・レム 関口時正 訳
 
 

友人との再会から、青年医師ステファンは、煉瓦塀に周囲をかこまれ、丘の頂に屹立する、ビェジーニェツのとある病院に勤務することになる。そこ、「主の変容病院」では、奇怪な精神と嗜好を有する医師と患者たちが日々を営んでいた。彼らに翻弄されるステファンだったが、やがて病院は突如姿を現したナチスによって占拠されてしまう。次々と連行される患者たちを前にステファンの懊悩はなおいっそう深まっていき……レムの処女長篇『主の変容病院』のほか、ナチスによるユダヤ人大虐殺を扱った架空の歴史書の書評『挑発』や『二一世紀叢書』など、メタフィクショナルな中短篇5篇を収録。

 

 

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1.主の変容病院

 (Szpital Przemlenienia)

 

 

2.挑発

 (Prowokacja)

2.1.ジェノサイド(ホルスト・アスペルニクス)

     (Der Völkermord)

2.2.人類の一分間(J・ジョンソン、S・ジョンソン)

     (One Human Minute)

 

 

3.二一世紀叢書

 (Biblioteka ⅩⅩⅠ Wieku)

3.1.創造的絶滅原理 燔祭としての世界

     (Das Kreative Vernichtungsprinzip. The World as Holocaust)

3.2.二一世紀の兵器システム、あるいは逆さまの進化

     (Weapon Systems of the Twenty First Century or the Upside-Down Evolution)

 

 

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「主の変容病院」です(・∀・)

 

 

11月の6日目でやっと読書の通常の輪に戻れました。SF6人目はポーランド文学の巨匠スタニスワフ・レム氏です。恥ずかしながら「ソラリスの陽のもとに」しか知らなかったわたしはレム氏を純粋なSF作家だと思っていました。

 

 

これ、純文学だったのかorz しかも「魔の山」的な病院、哲学文学! しかしマンはドイツ人、レム氏はポーランド人。占領する側、される側としてはっきり立場が違うので受け取り方がかなり違う。「魔の山」には「受諾」が見えますが、本書には「抵抗」が見えます。主人公ステファンは医師として尋常では無い思考嗜好の患者たちを分かり合えないと分かりながらも理解しようと奮闘しますが、そこに人間としての抵抗を感じます。

あと逃亡の終わりからして続編がありそうな気配がしたのですが、本書って長編「失われざる時」の第一部なんですね。……しかし翻訳はされていない……のか?

 

 

2は架空の書物から論じるメタフィクションもの。なんかウェルズでも同じものがあったような……しかしウェルズは未来の姿を論じたに対し、レム氏は現在軸からこのような論文が発表されてもおかしくない風に書いています。もしかしたらパラレルワールドだったら普通に存在している書物かもしれない……と思える怖さが有ります。しかしSF作家というのは兼業とか分業とかではなく、科学者だったり哲学者だったり、別の職業を背中合わせに持っているのですね……なんというか……「分人」?

 

 

2冊目にしていきなりの難解さに蹴躓きましたが、大学の講義のようにレム氏の本を読んでいきたいと思います。

 

 

「主の変容病院・挑発」でした(・∀・)/

次は超お久しぶりの「文豪ストレイドッグス制覇計画」! 拉致された敦くんを連れ戻せ!(*^o^*)/