スタニスワフ・レム No.12◇宇宙創世記ロボットの旅◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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2人の宙道士トルルとクラパウチュスが織りなす宇宙の御伽噺!

 
 
 
◇宇宙創世記ロボットの旅◇ -Cyberiada-
スタニスワフ・レム 吉上昭三・村手義治 訳
 
 
今は昔、宇宙にまださしたる乱れもなく、星はみな満天に整然と並んで、上下左右いずれの方向にもたやすく数えることができたころ、宇宙の空間には、星雲から舞い立つほこりや泥土や塵芥の影ひとつ見られなかったーーそんなよき時代に、『無窮全能資格』優等免状を持った2人のロボット宙道士が、はるかな国のさまざまな種族に、温かい助言とささやかな援助の手をさしのべんと、流れる銀河に宇宙船を浮かべ、いさんで旅に出たのだが……。ポーランドSF界の巨匠スタニスワフ・レムが、現代文明への痛烈な批判を、シニカルな笑いのうちに詩的な文体で謳いあげた珠玉の名篇!
 
 
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1.哲人『広袤大師』の罠ーー第一の旅ーー
 ……トルルとクラパウチュスは優れた宙道士。トルルが赴いたのは軍国主義者の醜怪王が統治する王国。王様の望みは強力な兵器。それにトルルは広袤大師の術に取り掛かる……
 
 
2.詩人『白楽電』の絶唱ーー番外の旅ーー
   ……ある時トルルは1台の計算機を作った。サイバネチックスを駆使してやがて1人の電気詩人を作り出す。やがてその代物は本物の詩人たらしめるが……
 
 
3.獣王『残忍帝』の誘拐ーー第二の旅ーー
 ……公袤大師の術を使って成功を収めた2人はまた旅に出ることになったが、その目的地で喧嘩になった。それならば彼方から出向いてもらおうと広告を出し、その広告を見てやって来たのは新しい猛獣を欲しがる残忍帝!
 
 
4.竜の存在確率論ーー第三の旅ーー
 ……竜は存在しないことにはなってはいるが、宙道士ら学者の世界では虚数型、ゼロ型、マイナス型の三種の竜が学問的にも実際的にも存在することになっている。そんな時バジレウスなる宙道士が竜が現れるぞと言って竜を見たことのない住民を怖がらせているという噂が耳に入る……
 
 
5.汎極王子の恋路ーー第四の旅ーー
   ……いきなり叩き起こされますトルルが目にしたのは海星国の出目王の使者たち。この出目王の王子が隣国の姫様に恋してしまった、しかしこの姫様の父親偏窟帝はけんもほろろにそれを断ってしまい、困り果てていると言うのだ。トルルは『脱恋機』なる機械でなんとかしようと努めるが……
 
 
6.舞踊王の戯れーー第五の旅ーー
   ……キムベリヤ国の舞踏王はとにかく娯楽が大好き。特に隠れん坊は大のお気に入りでそれが政治をも動かす有様だ。その惑星にたまたま立ち寄ったトルルとクラパウチュスは王様の為に人と人を入れ替える機械を拵えるが、それ超大混乱の始まりだった!
 
 
7.コンサルタント・トルルの腕前ーー番外の旅ーー
 ……白い太陽の元に住む鋼眼機族は何から何まで明るく何物も恐るに足らなかったが、性悪女である彗星ロケットが飛んで来た。散々暴れた上に居座る彗星ロケットに困り果てた鋼眼機族は偶然やって来たトルルに助けを求める。
 
 
8.盗賊『馬面』氏の高望みーー第六の旅ーー
 ……空想物語の洞窟と『未知漢』は本当なのか? それを確かめるべくトルルとクラパウチュスはその惑星へ。道中『盗賊ディプロイ』なる存在を耳にする。その盗賊はあらゆる『真実』をもとめていて……
 
 
9.トルルの完全犯罪ーー第七の旅ーー
    ……ある時トルルはパンクリツィヤ国とツェネンデラ国の元王様に出逢う。この王様は国民によって追放されたのだ。失われた地位を取り戻したいと願うタルタロスの放逐王に対し、トルルは1億分の1に縮めた社会を箱に収めて与えたが……
 
 
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「宇宙創世記ロボットの旅」です(・∀・)
前作と同じくロボット! 宇宙! サイバネチックス! なロボット御伽噺です。ただ今回は感情的なトルルと冷静沈着なクラパウチュスという名前の2人の宙道士が登場し、その2人の活動譚になっています。どちらかと言うとトルルの方が主人公らしく、2と7のようにトルル単独の話が有ります。
 
 
さて。御伽噺というからにはまぁ「めでたしめでたし」で終わってくれないとなんか悲しいですよね← 本書もそれに漏れない。漏れないけど……なんだろう、メリバ的なところがあるような……そりゃもちろん純粋に問題解決ができてハッピーエンドも有りますが、「おいおい、それで良いのか」感が拭いきれないというか……この感じ前にも何処かで……と思ったらあれだ、アザゼルだ。でもこれと違ってこちらは一方は幸せになっているけどね。……一方はね。
 
 
「宇宙創世記ロボットの旅」でした(・∀・)/ 
幸せな家庭に潜んだ闇、とは?(*^o^*)/