林真理子 No.2◇私はスカーレット Ⅱ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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未亡人生活を強いられるスカーレットの中でレットの存在感は増していくーーー

 
 

 
◇私はスカーレット◇ -I am Scarlet-
林真理子
 
 
パリピ気質で男の子にモテることが大好き、わがままで思慮が浅く、まわりの女子ほぼ全員を敵にまわすスカーレット。郡一番のモテ女を自負していたのに、愛するアシュレに告白してまさかの玉砕。彼は、スカーレットいわく「ダサい女」メラニーと結婚してしまい、プライドはボロボロ。彼への当てつけに思いつきで好きでもない男と結婚するも、2か月で夫は戦死、16歳にしてまさかの未亡人、17歳にしてまさかの母親に! 喪服を着続ける田舎の生活にウンザリ、救いを求めて大都会アトランタへ出てきたけれど、そこは思い描いていた天国ではなかった。そんなある日、パーティーに出かけるチャンスが。そこで再会したのは、この世で一番会いたくなかった男レット・バトラーだった。
 
 
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大都会アトランタに行っても未亡人の型にはめられた生活は変わらない。だけどなんと病院運営のための舞踏会に行けることになった! 売店の売り子だけどそれでもまた華やかな場に出られることには変わりはない。
 
 
しかし其処でも踊れないし、注目は浴びられないし……その上あのレット・バトラーと会うことになるなんて。彼は北軍の監視を潜り抜けて南部に医療物質を運んできた英雄だが、彼は相変わらず南部がこの戦争に負けると思っている変わり者だ。だって金貨150ドルでこの私と踊りたがるんだから! レットは嫌な男だけど不思議と追い払うことが出来ない。……この夜は楽しかったけど南部の上品で頭の硬いご婦人たちはご立腹でタラのお母様の耳にも入ってしまう……
 
 
あの舞踏会以来、レット・バトラーは私に会いに来るようになった。アトランタではもう絶対に手に入らない新作の帽子やドレスやお菓子を携えて……アトランタ中を敵に回したレットは今や爪弾き者だ。けれどやはり追い返すことは出来ない。
 
 
戦争は長期化し、戦死傷者名簿には私の知り合いや幼馴染みの名前がたくさん載るようになった。救いなのはアシュレが無事なことだけ。そしてクリスマス休暇に彼は帰ってきてくれたけど「メラニーを頼む」とだけしか言ってくれなかった。しかもメラニーには赤ちゃんが! アシュレが本当に愛しているのは私なのに! 妻だけってだけでメラニーは赤ん坊がいて、私には何も無い。こんなことってある?
 
 
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「私はスカーレット Ⅱ」です(・∀・)
 
 
こちらの続き、スカーレット視点で描かれる「風と共に去りぬ」の2巻です。自分読んだ新潮文庫ものだと2巻の第3部のさわりまでのスカーレットが描かれています。まだ本当の危機が迫っているわけじゃ無いので相変わらず自分本位なところは変わりません。いやむしろ未亡人ストレスで増長している……? そこにつけこむのが我らがレット・バトラー。スカーレットの怒らせているようで勝気と情熱に火をつけまくり。それでどうして最後の最後まで気がつかなかったんだろう……10年後が悲しいよ……
 
 
本家版を読んでも薄々気が付きましたが、スカーレットは動機はともかくとして「戦争をとっとと終わらせるべきだ」とか「南部連合は負ける」というレットの言葉に恐怖を感じたりと本能的に正しさを掴んでいます。しかしそれに手を離してしまうところが愚かしいというべきか。そしてアシュレの手紙の半分も意味が分からないというアシュレを愛しているといいながら全く理解していない、そして上辺でしか思考を読み取れないという真性の無知も晒しています。これは終戦後のスカーレットが原因の「KKK」に繋がるので非常に重要です。
 
 
3巻は遂に南部連合敗北の兆しが濃くなり、北軍がアトランタにも侵攻して来ます。身重のメラニーを抱えた決死の脱出劇が中心かと。気長に待ちたいと思います。
 
 
「私はスカーレット Ⅱ」でした(・∀・)/
次はまた19世紀英国ミステリーです(*^o^*)/