アンソニー・ホロヴィッツ No.3◇絹の家◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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手首の白いリボンが意味する恐ろしい事件と存在とは? その存在がホームズの命を脅かす!

 
 

 
◇絹の家◇ -The House of Silk-
アンソニー・ホロヴィッツ 駒月雅子 訳
 
 
ホームズの下を相談に訪れた美術商の男。アメリカである事件に巻きこれまて以来、不審な男の影に怯えていると言う。ホームズは、ベイカー街別働隊の少年達に捜査を手伝わせるが、その中の1人が惨殺死体となって発見される。手がかりは、死体の手首に巻き付けられた絹のリボンと、捜査のうちに浮上する「絹の家」という言葉…。ワトスンが残した新たなホームズの活躍と、戦慄の事件の真相とは?
 
 
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1890年。ベイカー街221Bのシャーロック・ホームズのところに依頼人がやって来た。美術商カーステアーズは去年ボストンで双子のギャングに絵を盗まれ捕物劇を行なって以来、その片割れに付き纏われるようになりその影に怯えていた。
 
 
ホームズはその男の尻尾を掴むべくウィギンズたちベイカー街別働隊に命じ、その男を見張らせるが、その片割れは既に殺されていた。しかもその時怯えた様子を見せた新入りロス少年が姿を眩ませてしまう。あんなに怯えたのは1人で見張っていた時に何かを見たからだと感じ、ホームズは嫌な予感を覚えるがその通りにロス少年は拷問を受けた惨殺死体で発見されてしまう……
 
 
ホームズは自責の念にかられ、ますます事件解決に躍起になる。手がかりはロス少年の姉サリーが口走った「ハウス・オブ・シルク」と手首に巻かれた白い絹のリボン。しかし「ハウス・オブ・シルク」の名前が出た途端、兄のマイクロフトは手を引くように諫言する。ホームズはそれを無視し、新聞に広告を出すが、それがまさか無実の罪での逮捕に繋がるなんて!
 
 
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「絹の家」です(・∀・)
 
 
私の中で最近ヒットをかましたアンソニー・ホロヴィッツがコナン・ドイル財団から認められて書いた公式続編です。存在そのものは知っていましたが、公式であろうとなかろうと所詮パスティーシュ作品でしょ? って感じでずっと敬遠していました。が、カササギメインテーマが面白かったので「あ、もうこれ読まず嫌いしてもしょうがないな」と思い、とうとう読むことに。次いでに宿敵がタイトルロールになっている作品を買ったので2回続けてお送りします。
 
 
そんなわけで本書。舞台は1890年。……公式ネタが盛り沢山なのでドイル著ホームズものを読んでから本書を読むことをお勧めします。まさか正典を読まずにパスティーシュ読む人はいないかと思いますが、最近ホロヴィッツ氏は熱いので一応……シャローキアンとホームジアンならにやりと微笑む、読んでいる人なら「あ! あいつだ!」と思わず叫びたくなるネタ満載です。……しかしやはりそこはパスティーシュあるあると言っていいのか、ネタ盛り過ぎでまさかのあの人が登場するところとかはちょっと都合が良過ぎないか!? と思ったり……え、誰かって? あ、「あの女」じゃ無いですよ、ちなみに。
 
 
後世のパスティーシュ作品で出来るのは当時の社会問題を論ずることだと思うのですが、本書は子ども、又は弱者の貧困が論ぜられ、実はそれが重要になっています。本書はベイカー街イレギュラーズが登場し、子どもに危険な任務をつかせることを何度か警告されますが、これは現代人のホロヴィッツの考えであって当時そんなこと考えた人は非常に少数だったのではないかと思います。あとホームズがやけに激情家です。人間的だと思いますが、「こんなだったっけ?」ってな感じです←
 
 
とはいえ、一見無関係な事件が物凄いところで繋がっていたり、ホームズがまさかの逮捕される!? な顛末はハラハラドキドキで改めてホームズの凄さを思い知ったのでした。次回作は本書から1年後の話ですが……まさか宿敵も死んでなかった……ってなことになるのか!?
 
 
その疑問を解消すべく「モリアーティ」に行ってみよう!(*^o^*)/