平野啓一郎 No.12◇マチネの終わりに◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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たった3回会っただけのあなたが2人の人生を、心を、芸術を少しずつ変えていくーーー

 
 

 
◇マチネの終わりに◇
平野啓一郎
 
 
天才クラシックギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。四十代という“人生の暗い森”を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的に描かれる。いつまでも作品世界に浸っていたいと思わずにはいられないロングセラー恋愛小説を文庫化!
 
 
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クラシック・ギタリストの蒔野は後々までちょっと語り草になった演奏会の後、ジャーナリストの小峰洋子と出逢った。2人は蒔野のスランプや洋子のイラクでの遭遇したテロという出来事を受けながらも強烈に惹かれ合い、結ばれることを意識する。
 
 
長崎で一緒に休暇を過ごすために空港に迎えにいくはずだった蒔野は携帯電話で知らされた恩師の急報を受け、迎えにいけないことを知らせようとするがその携帯電話をタクシーに忘れてしまう。その携帯電話をマネージャーの三谷に取りに行って貰うが、洋子からの着信を見て嫉妬心から蒔野のふりをして別れのメールを送信してしまう……
 
 
突然とも言えるが、なんとなく必然めいた別れから2年後。2人は離婚、結婚をし、蒔野はコンサートと妻となった三谷の出産を控える。別れの真相を知った時、2人の過去と未来は変えられるのか?
 
 
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「マチネの終わりに」です(・∀・)
 
 
酷い嫌悪感からどん底に叩き落とされて1ヶ月。久しぶりの平野啓一郎です、イェーイ← 去年映画化にもなった「マチネの終わりに」です。いやーコロナが無い時代がこんなに遠く感じられるとは。
 
 
平野啓一郎のジャンルはいくつかのグループに分けられますが、本書は「恋愛小説」。それも切ない系。惹かれながらも運命のひっどい悪戯から結局結ばれない2人の物語です。
 
 
三谷のしでかした此れですが、いや昨今の少女漫画並みに悪質過ぎて引くわ……とか思っていたんですが、かといってもしそれが無かったら2人は結婚したとして、2人は本当に幸せになれたか? と言われたら素直に肯けない自分もいて……特に蒔野は演奏家なので個人主義だし、洋子は良くも悪くも高尚過ぎるし、公の部分で私の部分よりも尊敬できないと駄目なような……
 
 
この話は一貫して「音楽」がずっとあるので2人の恋愛はきっと演奏会でかけがえのない音楽を聴いたような感覚に近いんじゃないでしょうか。音楽は決して伴侶にはなり得ないけどけれどその人の心の1番深い場所で寄り添ってくれる……蒔野にとって洋子は、洋子にとって蒔野はそんな存在だったのかも……蒔野は最後まで洋子が誤解を解いたことや独り身に戻ったことを知らないですが、その結末は必然だったとも取れます。
 
 
「マチネの終わりに」でした(・∀・)/
次はもう敬遠してもしょうがないので公式続編を読もうと思います(*^o^*)/