ジュール・ヴェルヌ No.28◇十五少年漂流記◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

船に乗っていたのは大人は一切無しの15人の子どもたち……生きるための冒険が始まる!

 
 
 
◇十五少年漂流記◇ -Deux Ans de Vacances-
ジュール・ヴェルヌ 波多野完治 訳
 
 
14歳のゴードンを頭に15人の少年たちだけを乗せたスクーナー船が、ふとしたことから荒海に出てしまった。大嵐にもまれたすえ、船は、とある岸辺に座礁。島か大陸の一部かもわからないこの土地で、彼らは生きるためにさまざまな工夫を重ね、持ち前の知恵と勇気と好奇心とを使って、スリルに満ちた生活を繰りひろげる……。“SFの祖”ジュール・ヴェルヌによる冒険小説の完訳決定版。
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
吹き荒れる嵐の中を航るスクーナー船のスルギ号。マストを全て無くし、転覆を防ごうとする悪戦苦闘するブリアンとゴードンは船員ではない。大人ですらない。14、5歳の子どもだ。それどころか同船者は皆、歳下の子どもたち。15人の中には船員は黒人のモーコーが1人。ーーーしかし大人は1人もいない!
 
 
14人の少年たちはニュージーランドの寄宿学校チュアマン校に通う小学生たちで夏休みの間、このスルギ号で船旅に出る約束があった。ところが子どもというのは待ちきれない生き物だ。出発よりも早くに乗り込んでしまい、何故か綱が解けて自然に船が出てしまったのだ! 
 
 
なんとか船の転覆は避けられ、島か大陸かは分からないが陸地に漂着した。年上でリーダー格のフランス人ブリアンとアメリカ人ゴードンは生きるために知恵と勇気をフル活用するが、英国人のドノバンたちは歯向かうし、何故かブリアンの弟さんジャックは元気がないーーー……
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
「十五少年漂流記」です(・∀・) ヴェルヌ作品で1、2を争う名作ついに登場です。イェーイ! メインキャラは全員子ども。大人は出るけど超端役。子どもが大人無しでサバイバルを行う本書は冒険小説中の傑作です。1888年に書かれて以来、何万人という日本の少年たちの心を鷲掴みにしては冒険心をかきたてたことでしょう……
 
 
本書はヴェルヌ作品で唯一の、子どものために書かれた話と言われています。なので極力残酷描写を無くし、性描写は全カット、そもそも、もともと航海に出るつもりでフライングスタートだったわけだから物品不足はまぁ無いわけです。めちゃくちゃ恵まれたスタートですよ、君たち。それなら「神秘の島」の方がよっぽど極限サバイバルですよ。しかしこちらは大人向けです。
 
 
もちろん前述したことはヴェルヌにも分かっていたと思います。なので肝心なのは子どもでも立派な「共和国」を作れるということ、国とか関係なしに仲良くなれて団結することができる、というところだと思います。特に後者は日本だとフランスもアメリカも英国もてんで関係ないので仲が悪かった子たちが真に和解して協力し合う、犯した罪を許し合うだけで心に突き刺さるのです。国が違うというだけで争いの元になったりする中、ゴードンやブリアンたちのようにわかり合う、認め合う、許し合うことがどれだけ難しく、しかしどれだけ尊いかが分かります。この話には普遍的なテーマがあるのです。
 
 
「十五少年漂流記」でした(・∀・)/ 
「文豪ストレイドッグス制覇計画」、可愛いあの子は暗殺者!? 出会った瞬間、縁は繋がった!(*^o^*)/