H・G・ウェルズ No.7◇タイムマシン◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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80万年後、人類は闇に怯え、破滅と終焉を待つ身になっていたーーー

 
 
 
◇タイムマシン◇ -The Time Machine-
H・G・ウェルズ 橋本槇矩 訳
 
 
80年後の世界から戻ってきた時間旅行家が見た人類の未来はいかなるものであったか.地上人エロイと地下人モーロックに分裂した未来社会の衰退を描きだした「タイム・マシン」(1895)は,進歩の果てにやってくる人類の破滅と地球の終焉をテーマとしたSF不朽の古典.他に「水晶の卵」「新加速剤」「塀についた扉」等九篇収録。
 
 
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1.タイムマシン
  (Time Machine)
  ……時間を次元的に行き来できないものかーーー男はその着想でタイムマシンという機械を発明した。その時間旅行家はある時80万年後の地球に行って帰ってきた。80万年後の人類は地上と昼を生きるエロイ、地下と夜を生きるモーロック族の2種に別れていた……
 
 
2.水晶の卵
  (The Cystal Egg)
  ……骨董店を営むケイブはとある不思議な水晶卵の魅力に取り憑かれていた。その水晶卵は光学の法則に合わない発光を行い、挙句にその中に見知らぬ景色を見せるのだ。その景色は果たして……
 
 
3.新加速剤
  (The New Accelerator)
  ……全身に作用する興奮剤ーーー新加速剤を発明したジバーン教授。ところが、この薬には思わぬ盲点があった!
 
 
4.奇跡を起こした男
  (The Man Who Could Work Miracles)
  ……フォザリンゲイはひょんなことから思念だけでなんでもできるようになった。物を別の物に変えたり、出現させたり、人を消したり……ところがその奇跡は地球の自転を止めた瞬間、恐ろしいものになった!
 
 
5.マジック・ショップ
  (The Magic Shop)
  ……息子のジップにせがまれてその店に入ることになったわたし。その店は「本物」の魔法道具や手品を売る不思議なお店だった!
 
 
6.スター
  (The Star)
  ……海王星の軌道に新しい巨星が出現した。この星は太陽系を通り過ぎ、やがて地球へ接近し、地球に未曾有の大災害が!
 
 
7.奇妙な蘭
  (The Flowering of the Strange Orchid)
  ……ウェダーバーンは蘭の即売会で新種と思しき蘭を手に入れた。醜い見かけの蘭はやがて美しい花を咲かすが、その時ウェダーバーンの身に危険が迫る!
 
 
8.塀についたドア
  (The Door in the Wall)
  ……子供のときに入って以来、その塀についた緑のドアに憑かれたウォレス。やがて人間生活が塀についた緑のドアを締め出すが、大人になった今では入りたくて入りたくて、見つけたくて仕方がない。ウォレスは仕事帰りに街を歩いて探しまわるが……
 
 
9.盗まれた身体
  (The Stolen Body)
  ……「盗まれた身体」参照。
 
 
10.盲人国
   (The Country of the Blind)
   ……ヌメスはアンデスの絶壁に落ちて消息不明になった。死んだと思われたが実は生きており、彷徨った末にたどり着いたの目の見えない人間だけが住み、独自の生活体系を持った盲人国だった!
 
 
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スタンダート島に潜んでいたのは盗賊など生易しく思えるほど危険な存在ーーー伝説級のテロリスト「未来を知る男」でした。敦の前に現れたのはその危険な武器"殻(シェル)が発動し、壊滅してしまった横浜とそれを開発した「未来を知る男」、実は「未来を知る女」のこの人物。
 
 
 
「H・G・ウェルズ」です。実際のウェルズは男ですが、文ストでは作品の都合上、女性になっています。中性的な美人です。彼女は異能を使った武器を開発する科学者として働いていました。……武器を開発するのはどこかの組織に属している可能性が高いのでウェルズは「時計塔の従騎士」メンバーだったとかありえる話でしょうか。
 
 
彼女の異能は【タイムマシン】【映写機を媒介に局所的に時間を操る能力。ただし1つの物、人に対して1回だけ】です。ここら辺は説明がかなり難しいですが、簡単に言うなら【時間操作】異能です。人をそのまま送るのはかなりのエネルギーを要しますが、記憶や感情を過去の自分に送り込むことは比較的エネルギー消費が少なく、敦の記憶が信号として55分前、つまりスタンダード島に着く前の敦に届いたことで敦くんは"殻"発動阻止のために奔走することになります。55分の間、敦くんが乱歩さんに見えてくる(笑)
 
 
そんなわけでウェルズの不朽の名作「タイムマシン」。このタイムマシンのおかげで時間SFが生まれたといっても過言ではない。
時間を空間的に行き来するという発想だけでもすごいのに人類の歴史を予想してしまうところでもはや拍手ものです。ある意味予言ですよね。病気も怪我もなく不老不死、全ては享楽になり、何も生まず何も持たず……この作品無しにハインライン作品の幾つかはあり得なかったと思います。
 
 
他の作品も現代ファンタジーに出てきそうな小物や現象がいっぱい。3はなんか「神々の糧」みたいな話。4は念力がヤバい顛末になってしまう話で「55Minutes」と同じ光景が見られます。確かに異能力だって奇跡だもんね。5と8は幻想譚。今はハリポタとかで見られる光景ですが、実際にあると楽しいよね。6はSF作家の十八番、新星がもたらす未曾有の災害もので2と7は奇妙なものがもたらす奇妙な後味。そんな物騒な蘭は育てたくない! 9は「目が見える人」と「目の見えない人」の奇妙な物語。感覚が分からないというのは恐ろしいことでもある。
 
 
「タイムマシン」でした(・∀・)/
ホックは短篇をドカドカっと読みます(*^o^*)/