原尞 No.4◇さらば長き眠り◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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こうして彼女は「長き眠り」から覚まされる。

 
 


◇さらば長き眠り◇
原尞
 
 
400日ぶりに東京に帰ってきた私立探偵沢崎を待っていたのは、浮浪者の男だった。男の導きで、沢崎は元高校野球選手の魚住からの調査を請け負う。11年前、魚住に八百長試合の誘いがあったのが発端で、彼の義姉が自殺した真相を突き止めてほしいというのだ。調査を開始した沢崎は、やがて八百長事件の背後にある驚愕の事実に突き当たる…沢崎シリーズ第一期完結の渾身の大作。
 
 
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400日ぶりに沢崎は帰って来た。ある要件で遠方に行っていたのだ。沢崎を出迎えたのは400日ぶりの渡辺探偵事務所と浮浪者の男だった。
 
 
その浮浪者の男、枡田は魚住という男との橋渡し役を担っていた。しかしその魚住という男は何者なのか? 「監督」、「死んだ姉」というキーワードからその魚住はかつて八百長疑惑をかけられた高校野球球児であったことが分かる。死んだ姉とはその直後に自殺した義姉夕季のことであることも分かった。
 
 
魚住は夕季の自殺を他殺と疑っている? 沢崎はついに魚住と接触するが、その直後何者かに襲われる。その時、正式に依頼を受けた沢崎は11年前の自殺事件を再捜査する。3人の目撃証言があったが、思ったよりも信憑性がなく、裏があった。あの自殺事件にはなにがあったのか? 沢崎は懐かしい面々から会いたくない面々と邂逅しつつ真実を掴むーーー
 
 
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「さらば長き眠り」です(・∀・)
レイモンド・チャンドラーの「大いなる眠り」と「さらば、愛しき女よ」と「長いお別れ」を合体したような題名←の本書は私立探偵沢崎シリーズの第3作目。そして1つの区切りでもあります。前3作の主要登場人物が沢崎を助ける形で再登場、会いたくない面々も続々登場。その極め付けがーーーまさに衝撃のラストの一言。沢崎はこの男のせいでさんざん迷惑と被害を受けましたが、やはりこの男は沢崎の人生において大きい存在でした。
 
 
本書は前半が依頼人、魚住探し、後半が11年前の自殺事件の真相探しです。しかしよくよく聞くとこんな穴だらけでよく自殺と相成ったのが不思議です。というかどうして今までそれが分からなかったのかが不思議だ。解剖はするんだし……
 
 
しかし沢崎シリーズってやっぱり真相に行き着くまでが重厚で長いから真相分かると拍子抜けするんですよね……逆に真相に行き着くまでの過程が結構好きです。
 
 
さて、もう2度と紙ヒコーキは飛ばない訳で沢崎の周辺にも大きな変化が訪れます。でもまさかこれで新宿署の錦織と清和会の橋爪と縁が切れる訳では無さそうだし……この両者はこれからどう沢崎と関わるのでしょうか。それからが「愚か者死すべし」と最新刊「それまでの明日」で描かれる訳です。楽しみです。
 
 
「さらば長き眠り」でした(・∀・)/ 
次は久しぶりに通常の輪に戻ってヴェルヌです(*^o^*)/