ジュール・ヴェルヌ No.4◇ハテラス船長の冒険・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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進め! 北の遥かなる到達点ーーー北極点へ!

 
 

 
◇ハテラス船長の冒険・上◇ -Adventures du Capitaine Hatteras-
ジュール・ヴェルヌ 調佳智雄 訳
 
 
未知の北極点を目指して突き進む冒険と狂気。イギリスによる北極征服に執念を燃やすジョン・ハテラスは、最新鋭の蒸気船フォワード号を指揮し、目標遂行のためとあらば、いかなる犠牲も顧みない。変幻自在の氷山と満天のオーロラが織り成すスペクタクル、極限の寒さの中の越冬、船員の叛乱、原初の楽園、生命に満ち溢れる凍らない海……。生き残ったわずかな者たちが最後に北極点で目にしたものとは……。
 
 
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英国、ニュー・プリンス造船所を出るフォワード号。なんの変哲もない船の名前だ。しかし何点か変わっている。目的地がわからないこと。荷物からして目的地は氷洋らしいが、誰も確かなことを知らない。きわめつけは船長が1匹の犬であること。しかしこれは表向きであり、本当の船長のことは誰も知らない。
 
 
そんな謎めいた船フォワード号の副船長になったシャンドンは謎の船長K・Zの代わりに船員を募集し、雇う。もちろん船医クロボニーもきちんと船に乗せた。
 
 
しかし出航しても船長の姿は影1つなく、時々謎めいた手紙が届くだけ。中にはこの船長犬を畏れ敬う船員もいるが、何人かは嫌悪している。ただでさえ目的地が分からないので船内の雰囲気は悪かった。それが最初の爆発を見た時、ついに謎の船長が姿を現わす!ーーーその名は水夫のギャリー。本当の名前はハテラス! 英国による北極点制覇を目論む男!
 
 
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「ハテラス船長の冒険・上」です(・∀・)
久しぶりのヴェルヌです← 本書もこれと同じく『驚異の旅』シリーズですが、目指す先は北極点! この物語が描かれたのは1864年ですが、この時点では北極点に到着している部隊も国もまだ無く、どれもその手前程度。まだまだ未踏の地でした。しかも北極点に至るまでは限りなく氷海で氷はもはや巨大な山だし、熊はいるし、屈折でとてつもなく大きく見えるしでそして寒いし、寒いし、寒いし←でここだけでかなりの危険な航海です。
 
 
その危険な航海に挑むのは英国による未踏の地征服に燃えるハテラス船長。ヴェルヌで船長と言ったらネモ船長ですが、ここでも存在感溢れる船長が登場します。勇気と機知に富み、冒険心あふれる船長の反面北極点征服に燃え過ぎて周囲が見えなくなる危うい男として描かれています。そのハテラス船長と反発する船員、協力する船員、友情を感じる船員たちのすがたも描かれています。船医のクロボニーと水夫のジョンソンの友情がこの物語の語りになっています。
 
 
なにより圧巻なのは氷海との死闘です。船にぶつかる巨大な氷山、どんどん減っていく石炭と燃料、どんどん募っていく船員たちの不満! 中でも副船長のシャンドンの心情の変化は流石です。
今の上巻で切実なのは2つ目と3つ目ですが、3つ目はまさかの形で解決します。しかしここから本当の困難が始まるーーー! と言うところで終わります。こんな状況でどうやって北極点まで行くんだよぉ!!と悶絶しそうです。
 
 
そんなわけでいざ! 下巻です(*^o^*)/