原尞 No.2◇私が殺した少女◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

その家に赴いた途端、沢崎は一気に誘拐殺人の渦中へーーー

 
 

 
◇私が殺した少女◇
原尞
 
 
まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る…緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆  
 
 
一本の電話がかかって来た。男のように低い声の女から行方の分からない家族のことで相談したいので真壁脩の目白の自宅まで来て欲しいと言う。沢崎はいつになく快調なブルーバードを走らせて目白に向かう。
 
 
ところが、真壁宅を訪ねた沢崎を待っていたのは「言うことには従った。娘を返して欲しい」という主人の哀願と、手荒な警察官どもだった。沢崎には訳が分からない。
話をまとめるとヴァイオリンの天才少女と名高い、真壁脩の娘清香が誘拐され、身代金6000万を要求した。その金を沢崎には渡すように指示したうえで沢崎が仲間を裏切り、金を独り占めするかもしれないと脅したのだ。
 
 
つまり沢崎は誘拐事件の片棒を担がされたらしい。因縁多き新宿署の錦織警部の睨みも無視して身代金受け渡し人を率いる沢崎だったが、問題の身代金受け渡し場所で謎の2人組に襲われ、身代金入りのスーツケースを奪われてしまう。
 
 
取引は失敗。ひとまず沢崎は帰されるが、真壁脩の妻恭子の兄甲斐正慶から別に依頼を受ける。甲斐は誘拐された清香を師事する音楽教授が、金に困っている自分の息子と娘がこの誘拐事件に関わっていると思っているようだ。沢崎は依頼を引き受け、一人一人を調べる。その中、匿名の電話がかかってき、廃墟と化した老人ホームで沢崎が見たものとはーーー
 
 
少女はわたしのせいで殺されたのか?
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆  
 
 
「私が殺した少女」です(・∀・)
前回に引き続き、原尞、第2弾。原尞はこの作品で直木賞を受賞し、これでミステリー作家の地位を確立しました。
 
 
本作の事件は「誘拐殺人事件」。多額の金を引き出し、それで命を天秤にかけて家族を翻弄させるという点である意味殺人よりも卑劣な犯罪と言われる誘拐事件にこれまた最悪な犯罪と言われる殺人事件がくっついて卑劣と残虐さ倍増です。
 
 
前回以上に複雑なプロットです。人に会って話を聞き、そこから手がかりを見つける。ーーーこれがここでは非常に緻密な作業であることを思い知らされます。探偵というのはそれにプラスしてゴーイング・マイ・ロード精神と犯罪に片足突っ込む気持ちがなきゃやっていけませんね←
 
 
……しかしこれは素直に真実を打ち明けた方が楽だったのでは……と思わされるパターンです。随所随所に真壁家の歪みが見えて不気味です。おやつにカップラーメンを用意するって絶賛変だと思うんですが、わたしだけですかそれ。
 
 
前回に引き続き、因縁多い錦織警部、暴力団員橋爪、紙ヒコーキに乗ったアル中渡辺が再登場。今回渡辺の過去が明確に分かります。この2人、顔を合わせることはあるのか。その時2人はどうなるのか。気になるところです。
 
 
「私が殺した少女」でした(・∀・)/ 
次は沢崎とハードボイルドと◯◯◯です(*^o^*)/