突然の来訪者が沢崎を夜をーーー眠った事件を呼び起こす。
原尞
ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。西新宿に探偵事務所を構える沢崎が立ち向かう難事件の背後には巨大な陰謀が隠され、鮮やかなラストシーンに向って物語はスピーディに展開してゆく。レイモンド・チャンドラーに心酔する、ジャズ・ピアニストの著者が２年の歳月をかけ完成させた渾身の処女長篇。いきのいい会話と緊密なプロットで贈る、期待の本格ハードボイルド登場。
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〈渡辺探偵事務所〉を1人で仕切る私立探偵沢崎は事務所である男に出会う。その男はここに佐伯という男が訪ねて来なかったかと尋ねる。しかし見も知らない人物にやたらと口を割るほど愚かではない。沢崎は男の要求をはねつけ、名前と理由を言えと言うが、男は「ここに佐伯が訪ねて来たのなら自分が来た理由も分かるはずだ」と譲らない。しまいには海部と名乗り、20万入り封筒を渡して去ってしまう。
その直後、弁護士韮塚という男から電話がかかって来た。韮塚は美術評論家の更科修蔵の顧問弁護士だ。邸のある田園調布に行くと謎の佐伯という人間がわかってきた。佐伯ーーー佐伯直樹はルポ・ライターで更科名緒子の夫で離婚し、慰謝料5000万を受け取るはずが、その会見に来ず、それっきり行方が分からなくなってしまっていたのだ。名緒子の依頼から沢崎は改めて佐伯という人間を探すことになる。
しかし佐伯の部屋からは警官と思しき人間の遺体が出てきた。さらに病院から抜け出した謎の男の存在。それらの裏にあったのは都知事銃撃事件、怪文書、記憶を喪った男ーーー
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「そして夜は甦る」です(・∀・)
前回こんなこと書きましたが、両方裏切ってまさかの今、話題の原尞です← この人の待望の新作はミステリランキング1位を独り占めしましたね。
当初は読むつもりではなかったのですが、ヴェルヌの「ハテラス船長の冒険」の下巻が当分届かないけどなんとなくノーベル賞作家作品を読むのも気が進まず……それで父が新作「それまでの明日」を読んでいたのを思い出してシリーズ第1作から読んでわたしも「それまでの明日」を読もう！ と思い立ったのです。父は期待度が高過ぎて渋い顔をしていましたが、わたしは読み終わったらどんな顔をするのか……今から楽しみです←
この作品は原尞のデビュー作にしていきなり代表作。レイモンド・チャンドラーに捧げられたこの作品……基このシリーズは直木賞等々、日本の文学賞を次々と取り、日本のミステリー界を彩っています。
確かにレイモンド・チャンドラーの香りがすごい。
というかモロだぁぁぁ。
文章の書き方とか比喩表現とかもろチャンドラーやん……チャンドラーでしかハードボイルドを知らないわたしにしてみれば沢崎がマーロウを気取っているようにしか見えん……そりゃチャンドラーとマーロウは名作ですが、これだけがハードボイルドだと言われたら心外のような。第一今時沢崎みたいな人がいますか。あとこれを読んで当時の警察のイメージを見ました。柄悪いわ。
ただ事件の様相や流れはかなり凝っています。よくできています。これがデビュー作だと思うと頭が下がります。むしろ本当の黒幕の方が簡単で拍子抜けしました。事件とはあまり関係ないですが、名緒子の心情は理解できないし、理解したくもない。
「そして夜は甦る」でした(･∀･)/
そして次も原尞だったりします← 「明日」を目指せ(*^o^*)/