悪魔崇拝、魔女狩り、妖精、狼男、死神……悪魔を探す自称2000歳の男、怪奇事件を解決する!
◇サイモン・アークの事件簿 Ⅰ◇ -The First Casebook of Simon Ark-
エドワード・D・ホック
73人もの人間が崖から飛びおりた、謎の大量自殺事件を取材に出かけたわたしは、現場の村で不思議な男性と知り合う。悪魔や超常現象を追い求めつづけ、その年齢は二千歳とも噂される彼の名は、サイモン・アーク─。ホックのデビュー短編「死者の村」を巻頭に、世界じゅうで起こる怪奇な事件の数々に、オカルト探偵が快刀乱麻の推理力で挑む10編を収録した、待望の第一短編集。
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1.死者の村
(Village of the Dead)
……俗世から離れた村で村民73人全員が自殺を遂げた。それを取材しに来たわたしはある男に出会う。その男はサイモン・アーク。ーーー悪魔を探し求める2000年生きた男!?
2.地獄の代理人
(The Vicar of Hell)
……わたしは中世英国の重要人物の不可解な死を解明したと言われる本を入手したいと望む女性レインと知り合う。ところがそこで魔術じみた殺人に巻き込まれ、またもサイモン・アークと邂逅した!
3.魔術師の日
(Day of the Wizard)
……砂漠の中に埋もれた戦闘機を探すのをサイモン・アークに手伝って欲しいーーーサイモンを探すため、エジプトに飛んだわたしだがそこで固く施錠されたキャビネットから美女が出現し、砂漠の中では消失事件が!?
4.霧の中の埋葬
(Funeral in the Fog)
……サイモンに助けを求める依頼がやって来た。その男ブルーマーはベトナムで出会った手を触れることなく人を殺す男に狙われていた。しかしそんなことが可能だろうか?
5.狼男を撃った男
(The Man Who Shot the Werewolf)
……州知事選立候補者のモルツのスピーチ集を編集することになったわたし。深夜そのモルツから電話がかかって来た。助けを求める電話だ。ーーーなんと狼男を撃ってしまった!?
6.悪魔撲滅教団
(The S.S.S.)
……わたしの勤める〈ネプチューン・ブックス出版〉の社章が悪魔のシンボルだと宗教団体に叩かれてしまった。その事態をなんとかすべくわたしは会社を代表してサイモンに助けを求めるがーーー
7.妖精コリヤダ
(The Touch of Kolyada)
……サイモンの教授仲間の家にコリヤダーーー子どもにプレゼントをあげるロシアの妖精ーーーが出没するという話を聞いたわたしとサイモンはその家に行ってみるが、見たのはコリヤダによる殺人事件!?
8.傷痕同盟
(The Society of the Scar)
……トルコの作家ビザスの小説出版権を得るためにトルコに向かったわたし。サイモンもたまたま同行していたが、絵画が切り裂かれるという怪異に出くわす。
9.奇蹟の教祖
(Master of Miracles)
……カリフォルニアで興った新興宗教に良からぬ噂が。サイモンはそれを確かめるべく、わたしを誘う。果たしてその新興宗教と教祖サディアス・ラスクの実態はーーー
10.キルトを縫わないキルター
(The Faraway Quilters)
……オカルトじみた事柄に興味を持つ女性グループ「キルターズ」にサイモンをゲスト・スピーカーとして招待したわたしとシェリー。集まりそのものは悪くなかったが1つだけ、ミス死神のマンディーの態度は不可解だった。その翌日マンディーは事故死してーーー
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「サイモン・アークの事件簿 Ⅰ」です(・∀・)
サム先生シリーズが読み終わり、今回から新しい探偵がお見えです。その名もサイモン・アーク。悪魔と超常現象を探して旅をする自称「2000歳」の男です。年齢の方は誰も信じませんが(笑)、異世界から来たような、常人では決してない雰囲気を漂わせ、ハンサムだが細かい皺の多い風貌はかなりの長生きを示しています。元エジプトのコプト教の僧侶で50年代には探偵事務所も構えていたとか。長い知り合いもいて確かに2000歳と言われても納得できる知識と人脈を持っています。
サイモンの人間像から分かるとおり、彼が突っ込むのは魔術、宗教、怪奇が絡む事件だけです。大量自殺の村、中世の黒魔術、悪魔、狼男、妖精、死神……それぞれが事件を妖しく彩っています。
1はサイモンと記者のちに編集者わたし、妻のシェリーの出逢いの作品でエドワード・D・ホックのデビュー作です。ここからして読む順番間違えた感満載でしたが、それはそれ、これはこれだ!← 大量自殺の原因になんとなく予想がつきましたが、当たって嬉しかったです。3や4や8は不可能犯罪でもあるような。7は殺人事件 in クリスマスです。推理小説における怪奇現象は絶対原因があると決まっているので←「こうかな? それともああかな?」と考えるのは実に楽しいです。
サイモン・アークシリーズは5巻まで出ていますが、収録されている作品は発表順ではなくランダムで、1は1955年発表、10は2003年発表です。なので読むごとに語り手のわたしは世界中をまたにかける記者になっていたり、編集者になっていたり、はたまた引退していたりして歳を取っていきますがその間、サイモンだけは全く何も変わっていません(笑) さすがは2000歳の男!←
これからしばらくわたしと一緒にオカルト探偵サイモン・アークの事件簿を読んでいこうと思います。
「サイモン・アークの事件簿 Ⅰ」でした(・∀・)/
次はアイスランド、最後の女性死刑囚の物語です(*^o^*)/~