ジョルジュ・シムノン No.13◇サン・フィアクル殺人事件◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

美しい思い出を汚す卑劣な犯人にメグレが挑む!

 
 
{9046B4DF-1345-4874-9E73-F0DEE4D99E4E}

 
◇サン・フィアクル殺人事件◇ -L'affaire Saint-Fiacre-
ジョルジュ・シムノン 美輪秀彦 訳
 
 
メグレ警部はオルフェーブル河岸のパリ警視庁で、偶然その書類を見つけて驚いた。「死人祭の最初のミサの間に、サン・フィアクルの教会で犯罪が起こる旨をお知らせいたします」サン・フィアクル!……それはメグレには懐かしい名前だった。彼はそこの館の管理人の息子として生まれたのだ。その村の教会で犯罪が起ころうとしている。事実、幼い頃憧れの女性だったサン・フィアクル伯爵夫人が殺された。知的で、残忍な方法で……。メグレの少年時代の思い出は、現実の館を支配する醜悪な雰囲気に、ひとつひとつ破られていく。激しい義憤にかられて犯人を追及するメグレ!
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
「死人祭の最初のミサの間に、サン・フィアクルの教会で犯罪が起こる旨をお知らせいたします」ーーーという悪質な予告を見たメグレ警部はすぐさまサン・フィアクルの教会に飛んだ。というのもサン・フィアクルはメグレの故郷で、父親はとある館の管理人だったのだ。
 
 
サン・フィアクルの教会にはメグレ少年の憧れだったサン・フィアクル伯爵夫人も礼拝に参加していた。最初のミサは終わった……あの予告は悪戯だった……安堵したのもつかの間、伯爵夫人はついぞ立ち上がらなかった……伯爵夫人は死んでいた!
 
 
しかし遺体には何の傷跡もなく、死因は急性の心臓発作だと分かる。……ではあの予告は? 調べると夫人の祈祷書が見つからない。合唱団の少年が持っていたのだ。果たしてその祈祷書にはある記事が……
 
 
サン・フィアクル伯爵家は破産寸前、息子は放蕩の限りを尽くし、夫人には若い愛人がいることが分かる。幼い頃知り、憧れていた美しいサン・フィアクルはもう思い出の中でしかなかった……
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
「サン・フィアクル殺人事件」です(・∀・)
メグレ、故郷に帰る。です。
なんとメグレの故郷で事件が起きます。それも殺人。それも予告付き。それもかつての憧れの人が殺されます。義憤に駆られ、思い出を汚す卑劣な犯人に挑みます。
 
 
……が、幼い憧れが現実を思い知るという過酷な試練を受けます。幼い頃の憧憬の実態を思い知る……時の流れって残酷です。伯爵夫人、その息子、館の管理人、その息子、司祭……それぞれが後ろ暗い秘密と葛藤を抱えています。
 
 
今回も推理よりも人間の葛藤、脆さ、矮小が際立っています。ぶっちゃけ、最初の予告状のこと、忘れているんじゃないか……? と思いました。終盤のメグレと5人の会議は緊迫感バリバリです。しかし今回も文章が短過ぎて逆に分かりづらかったです。「え、結局そうなったの!?」みたいな。そしてメグレは久しぶりに故郷に帰ったのに誰にも思い出してもらえないで良かったのだろうか……そういう意味でも故郷の美しい思い出と決別するように見えます。
 
 
「サン・フィアクル殺人事件」でした(・∀・)/
次は新しい探偵の登場です(*^o^*)/~