レイモンド・チャンドラー No.11◇プレイバック◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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尾行した女に纏わりつく不審な男と謎、そして死。秘密を抱えた女とマーロウの危険な駆け引き。

 
 
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◇プレイバック◇ -Playback-
レイモンド・チャンドラー 村上春樹 訳
 
 
午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを眠りから覚まさせる。それは、列車で到着するはずの若い女を尾行せよとの依頼だった。依頼主の高圧的な態度に苛立ちながらも、マーロウは駅まで出向く。女はすぐに姿を現すが、彼女には不審な男がぴったりとまとわりつき―。“私立探偵フィリップ・マーロウ”シリーズ、長篇第七作。新訳版。
 
 
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電話によって朝早く叩き起こされたマーロウ。朝一番で仕事を依頼された。列車でユニオン・ステーションに到着するはずの女を尾行して欲しいという依頼だった。
 
 
依頼人アムニーの態度にイラつきながらもマーロウはその女エレノア・キングを尾行する。しかしその女には怪しい男が纏わりついていた。しかも男は女を脅迫しているようで……
 
 
色々気になるマーロウはその女ーーーエレノア・キングことベティー・メイフィールドと接触する。男はラリー・ミッチェルというならず者。その夜中、メイフィールドが突然訪ねてきてそのラリーが自分の部屋のバルコニーで死体になって転がっていると告げる。しかし急行するとバルコニーには人影1つも無くーーー
 
 
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「プレイバック」です(・∀・)
こちらをマーロウものにアレンジしたものです。
ベティーがよりミステリアスになっています。
映画脚本の方ではベティーの過去が比較的早く明かされる上に過去がまさに「プレイバック」されますが、こちらは最後までほとんど分からないので映画を知っているはずなのにベティーがものすごく謎だらけに見えて来ます。不思議だ。
しかしチャンドラー世界に出て来る女ってみんな、マーロウに強烈に反発しながらも猛烈に惹かれて、でも最後は袂を分かって……なんというか……一夜の夢。花火みたい。その後は背中を向けて1人きちんと歩くのだ。女も男も。夜の向こうに時々思い出しながら、ね。
 
 
そして。ついにあの名台詞キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
わはーい! この瞬間を待っていた! なるほど、こう来たかぁ。この言葉こそマーロウの生き様、なんでしょうね。厳しさと優しさは背中合わせ。両方必要で、片方だけでは繰り返される今日と明日を生きていくには不十分で。両方持っていなければ言葉通り「生きるに値しない」のかも。
 
 
……にしても本作に限ってなんでマーロウは女に対してストイックを捨てたんだ? 1人ならともかく2人ってあんた。しかもその1人目、いらないし! タフでストイックなマーロウはどこに行っちゃったの。あとがきでもありましたが、奥さんシシーを亡くしてブレーキ弁壊れた?
 
 
そうだ。こちらでマーロウに後ろ髪を引かれるような名残を残したリンダが再登場します。え! お祝いの鐘が鳴る予感← えー……そりゃ「やってみなけりゃ分からない」けどマーロウほど似合わん男もいないような……似合う似合わない以前に想像つかん。夫婦生活ではなく、恋人生活になるような気がする。表面的にはべったりこってりだけど、精神的には淡々としているというか。「プードル・スプリングス物語」の終わりには離婚しているという羽目にならなきゃ良いんですが←
 
 
「プレイバック」でした(・∀・)/
次は読破間近のクロフツ……の短編集(*^o^*)/~!