目の前での殺人、連続殺人に湖の中の死体。真珠も取り返したりと男の孤軍奮闘は終わらない。
◇レイディ・イン・座・レイク◇ -The Lady in the Lake and Other Stories-
レイモンド・チャンドラー 小林宏明・他 訳
本書には、レイモンド・チャンドラーが1938年から39年前半にかけて発表した五篇の中短篇が収められている。表題作「レイディ・イン・ザ・レイク」は、長篇『湖中の女』の原型となったもの。「ベイシティ・ブルース」もまた、同長篇に組み入れられた。「赤い風」はのちに主人公がフィリップ・マーロウに書き換えられたバージョンでお届けする。伝説のヒーロー誕生前夜の熱気を伝える画期的全集第3巻。
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1.赤い風
(Red Wind)
……わたしの目の前で殺人事件が起こった。どうやら殺された男はウォルドという名前である女を探している。その日自宅に戻ったマーロウはその女を目撃する。
2.黄色いキング
(The King in Yellow)
……ホテル探偵スティーヴ・グレイスはそのホテルでトランペッター吹きと娼婦絡みのトラブルに巻き込まれた。そのトランペッター吹きはどうやら何者かに脅迫されているらしい。そしてその直後、問題を起こした娼婦の1人が殺されて……
3.ベイシティ・ブルース
(Bay City Blues)
……ダルマスのところに保安官のマッギーから電話がかかってきた。オーストリアン事件絡みできな臭くなってきたらしい。探偵マトスンは緑のパンプスをダルマスに託す。ダルマスはオーストリアン事件の関係者を尋ねるが……
4.レイディ・イン・ザ・レイク
(The Lady in the Lake)
……行方不明になった妻を探して欲しいと依頼されたダルマス。彼女には恋人がいたらしい。ところが、その恋人は既に何者かに殺されていた。次は依頼人の山荘に行くが、その湖の中で女の死体が上がった!
5.真珠は困りもの
(Pearls Are a Nuisance)
……真珠のネックレスを取り戻して欲しいと哀願されたウォルター。盗んだと思われた男は無実だった。ウォルターはその男ヘンリーと一緒に真珠のネックレスーーー実は密かに模造品ーーーを探すことになるが……
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「レイディ・イン・ザ・レイク」です(・∀・)
やっとチャンドラーとマーロウとハードボイルドに慣れてきたかと思います。彼らと知り合うのは大変です。
本書は長編「湖中の女」の元になった3、4と後に主役がマーロウに変わった1とホテル探偵ものの2、チャンドラーには珍しいことに軽くてコミカルな探偵が主役の5の、合わせて5篇が収録されています。早く「湖中の女」が読みたいです。ぶっちゃけ4はともかくとして3がどうやって組み込まれたのか分からなかったので気になるんですよ。
チャンドラーの書く文章っていつもズシーンと来ますが(間違えても飛び跳ねたりする気分にはなれない)、本書は珍しく軽いタッチの作品が入っています。主人公ウォルターが金持ちの遊び人だからでしょう。本人も軽いし、スラスラっと読めてしまいます。一緒に行動するヘンリーとの友情が実に良い。ウォルターは若いイメージがありますが、彼はまだハードボイルドになりきれていない感があります。……でもマーロウは20代の時からあんな感じな気がする←
「レイディ・イン・ザ・レイク」でした(・∀・)/
次は……実は読破間近なクロフツです(*^o^*)/~