レイモンド・チャンドラー No.9◇ロング・グッドバイ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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友人の無実を信じるマーロウ。哀愁だらけの友情にギムレットで乾杯を。

 
 
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◇ロング・グッドバイ◇ -Long Goodbye-
レイモンド・チャンドラー 村上春樹 訳
 
 
私立探偵のフィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。が、その裏には悲しくも奥深い真相が隠されていた……村上春樹の新訳で話題を呼んだ新時代の『長いお別れ』が文庫版で登場
 
 
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マーロウはひょんなきっかけからテリー・レノックスと知り合った。戦争の傷を整形手術で隠し、億万長者の娘シルヴィアの夫。しかしその生活はとてつもなく荒んでいたーーー
 
 
マーロウは暗い影を持つレノックスと何度かギムレットを呑むうちに友情を覚える。そんなある日、ただ事ではない様子のレノックスがマーロウを訪ねてきた。海外に逃げるため、助けを求めてきたのだ。レノックスは妻殺しの容疑をかけられていた。マーロウは逃亡幇助を犯すが、レノックスは告白文を遺して自殺してしまう。
 
 
レノックス事件はシルヴィアの父親の圧力から報道がストップした。レノックスを忘れられない中、マーロウはアルコール依存症の小説家ウェイドのことで依頼を受ける。そのウェイド夫妻がレノックスとシルヴィアの知り合いだと分かるうちに徐々にレノックス事件の渦中に……
 
 
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「ロング・グッドバイ」です(・∀・)
 
 
ついにチャンドラーの最高傑作、いやハードボイルドの傑作を読みました。そういや最近、日本版「ロング・グッドバイ」やりましたよね。ドラマで。1回で挫折しましたが← 
 
 
マーロウがマーロウなりにレノックスの無実を信じて奔走するところがいいです。ギムレットを片手に持つ2人の友情は哀愁の2文字がひたすら漂っていますが、名台詞「ギムレットには早すぎる」もとい「ギムレットには少し早すぎる」はやはり期待に裏切らず名台詞だと思います。あと題名の意味も。でも「ロング・グッドバイ」だと太宰みたいですね←
 
 
解説でマーロウ&レノックスがニックとギャツビーと比較されています。あー、なるほど。確かに両方とも友情は明るいものではないし、レノックスとギャツビーは一言では説明しきれない、大きな喪失を抱え、マーロウとニックは2人を永遠に喪う。2人がそれぞれ友人を見送る、看取るところは同じ要素がある気がします。
 
 
先刻、「哀愁」という言葉を使いましたが、この作品、「哀愁」だらけです。レノックスはもちろんのこと、小説家のウェイド夫妻もシルヴィアの姉のリンダも。プライドと矜持のためにすっごく傷だらけ、泥だらけになって、人と争いながらも人と関わらずにはいられない。弱くて脆いその姿はとてつもなく、人間的です。
 
 
今回はギャングは出てきますが、派手な銃撃戦とかないのでその分、上流階級の人間からギャングまで生身の人間像を垣間見れます。推理のシーンも多いし、チャンドラーを読んで初めて「やっぱりハードボイルドもミステリーの1つなんだな」と思いました←
 
 
2人の哀愁だらけの友情を見守るギムレット。これからはギムレットを見たり、呑んだり、作るたびに夜の片隅で杯を交わした2人を思い出すでしょう。近いうちにギムレットをつくってマーロウとチャンドラーに敬意を表したいと思います。
というかミステリーに登場する全てのカクテルを作って呑もうと思います。
 
 
「ロング・グッドバイ」でした(・∀・)/
次は目出度く警視に昇格したフレンチ警視の最初の事件!(*^o^*)/~