地球を地震のない惑星にできるのか? 地震の予知と撲滅に命を賭けた男の物語!
◇マグニチュード10◇ -Richther 10-
アーサー・C・クラーク&マイク・マクウェイ 内田昌之 訳
1994年1月17日、カリフォルニア大地震で父母を失ったルイス・クレインは三十年後、超一流の地震学者となっていた。日本の佐渡島で起きた大地震の予知に成功するなど、彼の理論は完成目前だったが、周囲ではイスラム国家の陰謀が渦巻いていた。やがてクレインは新たな大地震を予測。その規模は人類がまだ経験したことのないものだった…。
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ルイス・クレインはカリフォルニア大地震で家族を亡くし、以来地震の研究と予知に全力を注いでいる。ペテン師と罵られながらもEQエコの方程式を割り出したり、地球儀で地震予知を計算するが、やがて秘密を抱えるクレインと仲間のダンは次第に考えを異にするようになり、ダンはイスラム国家を率いるイシュメイルに傾倒するようになる……
クレインの本当の目的は核兵器でプレートを破壊し、地震そのものを無くしてしまうことだった。ダンはとうとう決定的にクレインと袂を分かち、イスラム国家側に組いる。イシュメイルらはこれを妨害すべく、研究所を襲う。
妻と子を亡くし、名声は失墜した。今度こそ本当に独りぼっちになったクレインに手を差し伸べたのは助手のバードと一度クレインの研究をスパイしていた、女性であることをひたすら隠していたスミ、そしてーーー
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「マグニチュード10」です(・∀・)
クラークとマクウェイという作家の手によるーーーまたも合作なーーー地震SFです。小松左京の「日本沈没」は読んだことないので地震SFは初めてです。
本作はクラークは案を出しただけで文章は全部マクウェイという人物が書きました。マクウェイはこれを書き上げた後急死してしまい、出来上がった本書を読むことはできませんでした。合掌。
地震は地震大国と呼ばれる日本の1番大きな自然な脅威。3.11以後、地震と向き合う姿勢は決定的に変わり、地震の予知、これから来るであろう地震の被害想定等々、研究が進められています。
本書の研究はその未来とも言えます。すごい地球儀だ。それにイスラム国家や2つの大きな政治団体が絡んでいます。今、イスラム国家は脅威は欧米でとんでもないことになっているし、これ、今再版できるのか……?
三角関係がこれをハード&シリアスにしたものだったので「あー、こういうところはクラーク?」と思ったのですが、クラークが出したの原案だけか! じゃあ、これマクウェイ!? それとも850文字の中にこれか!?
クレインの地震の憎悪は凄まじいんですが、なんというかだからって地震そのものを無くそうとするのは違うだろうと思ったり。地球は人間の良いようにはできていないのが道理なわけで、都合よく作りかえようとするのは傲慢でしょうよ。ダンじゃないけどきっかけは納得できるのにやることなすことに賛成できないというか。クレインはただでさえ自分のことしか考えてないし← 憎しみで物事は動かせないと気づくのは色んなものを失ってからで、取り戻すことをできたのもそれからでした。
わたしは「人間は自然と闘う権利はあるが、自然に勝つことはまずない」と思っているので向き合う姿勢は大事ですが、それ自体を無くすことは評価できないんです。それが無くなったら自然の摂理はどうなる? 人間が良ければ全て良しの時代はもう終わった。
しかし一方で「地震がなければ」と思う自分もいます。それに予知できたところでどこに逃げれば良いんでしょう。
難しい問題です。しかし日本にとっては「今日から遠くない何時かに来る」もので早急に答えを出す必要があるでしょう。国全体も、個人も。
「マグニチュード10」でした(・∀・)/
次はマーロウ、あの! 名作!(*^o^*)/~