アーサー・C・クラーク No.25◇遥かなる地球の歌◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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地球からやってきたマゼラン号と、かつての地球移民たちの子孫たちの邂逅は全ての子孫の先祖たちを産み落とした地球への賛歌を歌う。

 
 
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◇遥かなる地球の歌◇ -The Songs of Distant Earth-
アーサー・C・クラーク 
 
 
太陽系の壊滅を察知した人類は、自らの子孫を残すべく、遺伝情報を搭載した自動播種船をつぎつぎと近隣の星々に送り出した。そのひとつ、青い海に囲まれた楽園サラッサでは、何世代かのうちに新たな人類が自由で理想的な社会を築きあげていた。だがその長い平和をうち破るかのように、サラッサの空に謎の宇宙船が…。地球の滅亡から数百年を経た遠未来を舞台に、新たな道を歩みだした人類の姿を壮大に描く傑作長篇。
 
 
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惑星サラッサの先祖は地球の滅亡を予見して遺伝情報と共に脱出し、入植した地球民たちである。そのサラッサに地球と太陽系の滅亡を見届け、最後に脱出したマゼラン号がやってきた。彼らは最終目的地、セーガンⅡに行くために10万トンの氷を求めた。
 
 
サラッサは宇宙アンテナの故障で地球との通信は絶えていた。マゼラン号の乗員たちはサラッサに住民がいることに驚く。マゼラン号の副機関士ローレンとサラッサのミリッサは互いに特別な感情を抱き、ミリッサの恋人ブラントとは気まずさもあるが、海洋研究を一緒にこなしていく。
 
 
マゼラン号の中にサラッサに残留したいと望む乗組員が出てきたりも妨害もあったが、マゼラン号は遥か彼方の宇宙に旅立つ日がやってきた。それはそれぞれの心になにを残すのかーーー
 
 
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「遥かなる地球の歌」です(・∀・)
「天の向こう側」に収録された短篇「マークⅠ」と「太陽系オデッセイ」に収録された短篇「マークⅡ」を合体して長編化した作品です。
 
 
「遥かなる地球の歌」の縦糸ーー「マークⅠ」でのラブストーリーは本書の方がいいです。ヒロインのミリッサも未練は残さないし(泣かないって大きいと思うんだ)、恋人ブラントも精神的に大人だし、本書ではローレンとブラントは顔を合わせるので正々堂々と対面するというのがいいんですよね。最後、ブラントはローレンの亡霊の存在を感じますが、それが遠くないいつかに守護霊に変わるだろうとな可能性を感じます。「マークⅠ」ではそう思わなかったので……
長い眠りから覚めた時、子どもも妻も死んでしまっているっていうのは切ないですね……どうしようもない空白です。
 
 
またローレンとミリッサの弟クマール、ミリッサとマゼラン号の船長モーセとの交流も良いです。特に後者の会話は哲学も世界の深淵が垣間見えます。神様、とは?
 
 
横糸たるSF要素もかなり入っています。太陽新星化を感知するのに利用したニュートリノや氷を引き上げる金の箔の描写は宇宙的です。やはり音には宇宙が存在するんですね。
 
 
異星知的生命体の存在も仄めかされるし、サラッサとマゼラン号の物語はここで(一旦)終わるけど、まだまだ物語ーーー人生は続くのだと思うところが長編にはあります。
短篇→長編化された作品を読むとやっぱり長編の方が好きだなと思います。
 
 
「遥かなる地球の歌」でした(・∀・)/
次はー……また珍しい作品です(*^o^*)/~