1000年を経て、意外な人物が帰ってきた! そして地球はモノリスと宇宙に対してどのように旅を終わらせるのか。
◇3001年終局への旅◇ -3001:The Final Odyssey-
アーサー・C・クラーク 伊藤典夫 訳
31世紀初頭、海王星の軌道付近で奇妙な漂流物が発見された。それこそは、宇宙船ディスカバリー号の船長代理フランク・プールだった。はるか1000年前、宇宙船のコンピュータ、HAL9000によってディスカバリー号から放りだされたプールは、冷凍状態で星の世界へ向かっていたのだ。地球の軌道都市スター・シティで蘇生させられたプールがたどる究極にして最後の宇宙の旅とは…『2001年宇宙の旅』に始まるシリーズ完結篇。
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31世紀初頭。海王星周辺を回っていたチャンドラー船長は奇妙な浮遊物を発見する。それはなんと1000年間、あまりにも多くの謎を残したディスカヴァリー号の船長代理、フランク・プールだった! 宇宙に放り出されたフランクは冷却状態のまま、宇宙を漂流していたのだ。
目覚めたフランクは今が3001年であるのに愕然としながらも文化・言語・宇宙工学等々のギャップを埋めようと順応していく。フランクはやがて1000年前には果たせなかったエウロパについに上陸を果たす。そこで彼のモノリスに取り込まれたあのデイブ・ボーマンとかつて自分を殺そうとしたHAL9000号と再会する。2人はモノリスのエネルギー生命体になっていた。
30年後。デイブがとてつもない伝言を持ってきた。モノリスは人類を滅ぼそうとしている! この危機を脱出するべく、"トロヤの木馬"をヒントにーーー
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「3001年終局への旅」 です(・∀・)
ついに旅は終局を迎えました。最終巻。
前回の旅は2061年なのでフロイド博士はもう亡くなっています。じゃあ、主人公誰だろ、まさか全く無関係の人でも無さそうだし……って感じだったんですが、まさかのフランク・プール。覚えていますか? 船外に放りだされて不可解にも手を振ったあの男です。死んでなかったんだ……
フランクはそんなわけで約1000年のカルチャーショックがあるわけですが、ある程度のことは基礎として知っているわけでそれほどダメージを受けずに順応していきます。確かに中世や平安時代の人間が1000年時を超えたらショックから立ち直れないと思います。
フランクが3001年に慣れていく様子は淡々と書かれており、あー、クラークオンリーの文章だなぁと思ったり。人間面のこの淡白さ。最近のクラークにはなかったわー。
そして明かされるデイブの正体。まさかのHAL9000も一緒です。なるほど、彼らはモノリスの指令部の一部になったんですね。過去の名残は名前と記憶だけしかなく、決定的に違う存在。
最後、モノリスと共に思いもよらない運命を辿りますが、はっきり言ってこれで物語が終わるわけがない。
人間は作るにも破壊するにも限られた空間が必要なので歴史の中で見られる破壊行動はもはや人間の宿命、というか業のようなものでしょう。
モノリスはきっとまた来るでしょう。4000年、5000年……創造主はまだいるのです。世界は今日も宇宙のどこかで作られ、どこかで滅んでいく……地球は、人類は、どうなのるのか。どこに行くのか。今は誰にも分からないが、いつか必ず出る答えです。
圧倒される最終巻ではありませんが、"終わらない"物語を思わずにはいられない、考えさせられる最終巻でした。いつかファウンデーションシリーズみたいに続編ができるかもしれません。
「3001年終局への旅」でした(・∀・)/
次はアイスランド・ミステリ特集第2弾です(*^o^*)/~