カミーユは今度こそ、愛する人を守れるか。しかし運命はまたもカミーユを攻撃する!
◇傷だらけのカミーユ◇ -Sacrifices-
ピエール・ルメートル 橘明美 訳
『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』のヴェルーヴェン警部シリーズ最終作。 『その女アレックス』に続き、イギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞受賞! カミーユ警部の恋人が強盗事件に巻き込まれ瀕死の重傷を。彼女を守るため警部は独断で犯人を追う。英国推理作家協会賞受賞作。
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あの事件から5年。癒えない傷を抱えたカミーユはなんとか立ち直り、恋人アンヌもできた。ところが、同僚のアルマンが癌で亡くなり、葬式が行われるその日、そのアンヌが強盗に襲われ、重態だというニュースが入る。
駆けつけるカミーユ。アンヌは危篤状態だった。イレーヌのことを振り切れないカミーユはアンヌが恋人であることを周囲には伝えず、事件の指揮を取る。強引なカミーユに周囲は戸惑い、不審がる。
一命をとりとめたアンヌを強盗犯が付け狙う。なぜアンヌが狙われる? カミーユはひたすら背後に潜む伝説の強盗犯を逮捕しようと躍起になるが、そのアンヌに秘密があることを知りーーー
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*「悲しみのイレーヌ」のネタバレを多分に含みます。読んでから、この記事を読むことをお勧めします。
「傷だらけのカミーユ」です(・∀・)
衝撃度200%のミステリー、「ヴェルーヴェン3部作」の完結作です。低身長に悩むカミーユの、癒えない傷を抱える慟哭と衝撃のミステリー、ついに完結です。
イレーヌを至上最悪の形で亡くしたカミーユ。重度の鬱病からなんとか立ち直り、アンヌという新しい恋人ができました。ここはフランス人らしく新しい恋に行ったのか〜と思いきや、世界の摂理として確かに忘却はしているが、傷は全く癒えていないんですよね。カミーユの記憶の中、スケッチの中、生きている殺人者。その中にイレーヌの記憶、イレーヌの酷い最期が表れています。
事実、この話は3部作の決着点です。「その女アレックス」はカミーユが再起するまでの、番外編的存在。イレーヌ殺害事件はある意味、終わっていなかったのです。だからこそ、この犯人!
その中でアンヌ。カミーユが彼女について言及した瞬間、わたしはアンヌのことに気がついてしまいました。予感がした、フラグがたった、といいますか。
まさかのアンヌが!? まさか!? と思いきや……! こんなのって……!
最終作なんだからちょっとぐらい、ハッピーエンドでもいいだろう!? と思いましたが、こんな……悲しい傷だらけの終わり方ってのもなぁ……
今回、1番信頼していたドケチのアルマンが死んでしまい、若いルイには頼りきれず、親友ル・グランにも全てを打ち明けられないカミーユは職も危うくなり、精神的に1人ぽっちになります。最後のシーンは全てを喪いつつある、悲しい姿です。
ヴェルーヴェンシリーズはこれで終わりですが、実は中編があるとか! 何それ、超気になります! ぜひ、翻訳を! 刊行を!!
というか、このシリーズがこれで終わりと言われてそうは問屋が卸さないでしょう。
とはいえ、ルメートル作品はひとまずこれで一息。新作を心待ちにしつつ、読書の輪以外のルートは次はアン・ペリーです。お楽しみに。
「傷だらけのカミーユ」でした(・∀・)/
次は久しぶりの「文豪ストレイドッグス制覇計画」、太宰の「1番エグい作戦」は功を成すか!? 作戦成功のため、恨みもある、因縁深い人物に会いに行きます(*^o^*)/~