カトリーヌ・アルレー◇わらの女◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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新聞での求婚広告。それが罠への誘い口だったーーー

 
 
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◇わらの女◇ -La Femme de Paille-
カトリーヌ・アルレー 安堂信也 訳
 
 
翻訳の仕事をする知的で打算的なドイツ人女性ヒルデガルデ、34歳独身。彼女が見つけた新聞の求縁広告は〈莫大ナ資産アリ。ナルベクはんぶるく出身ノ未婚ノ方、家族係累なく……〉というものだった。こうしてすべてが始まった。そして彼女は億万長者の妻の座に。しかしそこには思いも寄らぬ罠が待ち受けていた。精確無比に組み立てられた完全犯罪。ミステリ史上に燦然と輝く傑作。
 
 
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ハンブルクで翻訳業をする貧しいヒルデガルデは幸運を掴むべく、毎週の金曜日の求縁広告を欠かさず目を通していた。そして今日、待ち望んだ広告が出た。これに乗らない手はない。ヒルデガルデは何度も添削して手紙を出した。
 
 
返事が来、ヒルデガルデはカンヌに招待された。彼女を迎えたのはその求縁者ーーーではなく、その秘書コルフ。そこでコルフは言った。
その雇い主の富豪、リッチモンドの遺産は死後、大半が慈善団体に贈られる。自分には長年仕えていながら2万ドルしか貰えない。そこでヒルデガルデとリッチモンドが結婚できるように計らう代わりに20万ドルを相続できるようにして欲しいと。
 
 
こうして貧しいヒルデガルデは金持ちとの結婚、コルフには10倍もの遺産、という条件の下、2人は手を組む。こうして計画結婚は上手くいくーーーはずだった。リッチモンドが上陸前日に不審死を遂げなければ。新しい遺言状はまだできていない。このままでは遺産はみんな慈善団体へ行ってしまう。ヒルデガルデはコルフの助言に従ってリッチモンドが生きているように振る舞うがーーー
 
 
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「わらの女」です(・∀・)
 
 
わたしにしては超変化球ですが、サスペンス・ミステリーです。カトリーヌ・アルレーはこの作品でミステリー作家として不動のものにしたそうです。
 
 
アルレーは「悪女書きのアルレー」と呼ばれており、悪女を描くことに定評があります。本書はあからさまに悪女ではないですが、打算的で無情なところがあるヒルデガルデか登場します。しかし本書の持ち味はその女が甘言に操られ、徹底的に騙されるところにあります。
初めから終わりまでじわじわと罠に誘われて落ちてもがくヒルデガルデにゾクゾクします。ここまで徹底的だともはや救いとか考えられなくなります。「わらの女」ってそういうことかぁ! そこに存在するってだけで罪を犯した証になる。ということ。
 
 
しかし最初からこれを予測していたコルフが1番恐ろしい。あらゆる反撃を想定し、矛盾も失策もゼロ。さらに罠に嵌った鼠を甚振る猫のような上から目線の語り口……完全に非情的犯罪者。こういう話聞くと甘い話にご用心! となりますね……
 
 
「わらの女」でした(・∀・)/
次も超変化球で、日本ミステリーの新しい時代を切り拓いたあの館にご招待(*^o^*)/~