ユッシ・エーズラ・オールスン No.1◇アルファベット・ハウス◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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その病棟に残した友を取り戻すために。

 
 
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◇アルファベット・ハウス◇ -Alfabet Huset-
ユッシ・エーズラ・オールスン 鈴木恵 訳
 
 
英国軍パイロットのブライアンとジェイムズはドイツ上空で撃墜された。かろうじて脱出し傷病を負ったSS将校になりすますが、搬送先は精神病患者に人体実験を施す通称「アルファベット・ハウス」だった。そこに軍の財宝を着服した悪徳将校4人組が紛れ込み、虐待が横行する。ブライアンだけが命がけの脱走に成功するが、やむなく残したジェイムズのことが気がかりだった。28年後、ジェイムズを探しに訪独したブライアンは、町の名士として偽名で暮らす悪徳将校らを発見するが…。人気作家が描く友情と愛憎の物語。
 
 
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第二次世界大戦中。英国軍パイロットのブライアンとジェイムズは脱出の果てに列車に乗り込み、負傷していたドイツ人軍人と入れ替わる。
 
 
搬送先は精神病棟「アルファベット・ハウス」。ブライアンは脱出の機会を窺うが、その病棟の中には悪徳将校が精神病患者として潜り込み、ジェイムズは目をつけられてしまう。結果、ブライアンは1人で脱出し、アルファベット・ハウスも爆撃される。
 
 
それから28年後。ブライアンはずっとジェイムズを残したことを悔やんでいた。彼はジェイムズを捜しにドイツに行く。ブライアンは果たして友にもう一度会えるのか。
 
 
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「アルファベット・ハウス」です(・∀・)
 
 
「特捜部Q」で有名なユッシ・エーズラ・オールスンのデビュー作です。
作者のオールスンはお父さんが精神科医だったそうで、精神病棟や患者をよく見聞きしていたことから着想を得たんだとか。
 
 
さて、この話は第1部と第2部でなっています。
第1部は第二次世界大戦中、第2部はその28年後。大事件を起こしたミュンヘン・オリンピックがあった頃。
 
 
「ああ、これ、戦争小説なんかじゃなかった……」
というかそう思ったこと自体が恥ずかしかった。そんな単純な話じゃなかった。
 
 
これは紛れもなく、人間を書いた話です。戦争が変えてしまった人間の友情と愛憎の話です。
 
 
だからラストは哀しい。
あの時、ああしていれば、こうしていれば。それはどんな場面であっても哀しいものです。どうしようもなかった。最善の方法はそれしかなかった。それをどんなに言い聞かせても、やはり「もし」を考えるのは苦しいです。読み終わると無性に夕暮れが哀しいものに見えます。号泣こそしないものの、静かな哀しさがこの話にはあります。
 
 
夕暮れを見て、1人で静かにその哀しさに涙を流したい。
 
 
現代に書かれた話ーーー特に推理小説は共感できることが多い反面、書かれた犯罪が自分の身にも起きてもおかしくないものが多くて生々しく、だから『湿地』が苦痛でした。それから北欧ミステリーや現代のミステリーは避けていましたが、でもその言い訳も終わりにする時が来たのかな。
 
 
そんなわけで早くて来月(あと3時間後で今月ですが)、遅くて2016年の1月中に「特捜部Q」シリーズが本ブログに登場します! 予言します! こうすれば絶対に忘れませんからね。有言実行です(OvO)
 
 
「アルファベット・ハウス」でした(・∀・)/
次は久しぶりのエラリーが拉致られます←(*^o^*)/~