独裁帝国の王に死の影が。権力に振り回されるクイーン父子!
◇帝王死す◇ -The King is Dead-
エラリー・クイーン 大庭忠男 訳
第二次大戦当時の機密島を買い取り、私設の陸海空軍を持つペンディゴ帝国に君臨する軍需工業界の怪物キング・ベンディゴ─彼の許に舞い込んだ脅迫状の調査を求められ、クイーン父子は、突然ニューヨークから拉致された。その強引なやり方と島の奇妙な雰囲気にとまどいながらも、エラリイはついに意外な犯人をつきとめた。しかし次の瞬間、父子の眼前で不可解な密室殺人が……冒険小説風に展開する奇抜な不可能犯罪の謎!
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いつもの朝だった。クイーン警視は仕事、エラリーは今、引き受けている調査を行うーーーはずだった。とある男たちがクイーン父子のアパートに侵入しなければ。
侵入者の名前はエーベル・ベンティゴ。地図上にも載らない機密だらけの、1つの自治国家となるベンティゴ帝国ーーーそこの首相だ。
エーベルはエラリーにその帝王キング(ケイン)に送られてきた脅迫状を調査を依頼したのだ。クイーン父子はベンティゴ帝国の権力にがんじがらめになりながらも調査を行い、ついにその正体を突き止める。
しかし本当に不可解だったのはこの後だ。空の拳銃が引き金を引いた途端、壁と廊下の向こうにいたキングが撃たれたのだ! しかもキングを撃った拳銃はそれ以外にありえない……
不可能犯罪を目の前にしたエラリーは苦戦し、とある目的を携えてライツヴィルへ!
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「帝王死す」です(・∀・) なんかエラリー、お久しぶりです(笑)
エラリー、いきなり拉致られる! それもリチャード・パパと一緒に! さぞかし家政婦のファブリカント夫人はびっくりしたでしょう。ただこれは極端な例ですが(苦笑)
てかファブリカント夫人出すならジューナ出せや←
依頼方法が拉致同然な上にエラリーとパパの仕事は勝手にキャンセルand有給休暇を取らされ、ベンティゴ帝国に行ってからもキングの絶対権力に身動きが取れず、調査ができない状態に。はっきり言って怖すぎる。
これが「ここに入るな」で終わらなかったらと思うとぞっとする! 権力のとんでもない使用方法を思い知らされました(((( ;°Д°))))
でも今回、出番少なめだったパパがフル活動していたのは嬉しかったなぁ。今回、エラリーはパパと一緒に事件調査を行うので強力バディが見れたのでそこは良しです(°∀°)b
さて、犯罪。不可能犯罪。引き金は引かれた。しかし相手は廊下と壁のはるか向こう。キングのいた部屋には撃てる隙間も機会もない。不可能犯罪ですよ!
……と思っていたけどなんだよ、それ! やっぱりそうくるかい!
読んでいるうちに「これはそう見せかけて、本当はこうなんだよ」ってパターンだと思えてきましたが、やっぱりそうだったか!
てかこれ不可能犯罪じゃなくて、とてつもなく運が良かっただけだろ、これ!! よくこれでバレなかったね、不思議だよ!←
犯罪そのものはひどい感想ですが、ベンティゴ帝国の人物はかなり面白いです。
キングことケイン。
ジュダ。
エーベル。
スペルは書いてもいいのですが、面白さ半減しちゃうので。
名前からしてとんでもないし、過去もとんでもなかった。3人を形成した全てがあのライツヴィルにあるということになっていますが、それがかなり濃いんですよね。それがすごく面白い。
これ、エラリー登場させないで3人を主人公にした方が面白かった気が。
それも「権力とは?」 を題材に。
キングもジュダもエーベルも3人が立派なキャラクター像として確立しているのでエラリーがいない分、もっともっと鮮やかに書けたと思います。王妃カーラもただの美女に終わらないのもいいですし。
「帝王死す」でした(・∀・)/
次はH.M卿と呪いのランプのお話です(*^o^*)/~