「悪」はこうして生まれ、進化する。エラリー、三たびハリウッドへ!
◇悪の起源◇ -The Origin of Evil-
エラリー・クイーン 青田勝 訳
犬が父親を殺した─突然訪ねてきた娘の言葉に、クイーンは興味をそそられた。玄関先に送られてきた犬の死体と脅迫状が宝石商のヒルをおびえさせ、死に追いやったというのだ。しかも、共同経営者のプライアムにも、意味不明の脅迫が続いていた。二人を死ぬほどおびえさせるものとは何か? プライアムが頑として語ろうとしない二人の過去とは? 題名を『種の起源』になぞらえ、ハリウッドを舞台に展開する記念碑的名作。
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テレビが登場し始めたハリウッドにやってきたエラリー。事件の調査……ではなく、小説を書くために。
ハリウッドはエラリーを事件の渦中に巻き込みたいらしい。というのもエラリーに尋ね人が来たからだ。その女性ローレルは贈られてきた犬の死体が父を死に追いやったのだと言い、殺人だと譲らない。
受けるか受けないか考えるエラリーのは前にもう1人やってくる。ローレルの父親ヒルと共同経営をしているプライアム夫人デリア。彼女の夫も似たようなものを贈られてきたという。エラリーはとうとう重い腰を上げる。
しかしその直後、プライアムが砒素を盛られる。第二、第三、第四の警告……エラリーは警告を止めることができるのか!?
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「悪の起源」です(・∀・)
エラリー、三たびハリウッドへ編です。実に「ハートの4」以来です。かなり年月は経っていて、なんとテレビが登場しています。それでもハリウッドはエラリーの知っているハリウッドでした。
さて、エラリー。ローレル、デリアの魅力的なご婦人の依頼で事件に巻き込まれます。事件飛び込み型。
でもエラリー、鼻の下伸ばしてんじゃねええええ!! どこ見てんじゃこら!!
やっぱりエラリーも男だ、普通の男! それもむっつりというやつだ。それでもきちんとした倫理感をお持ちでよかった。持ってなかったら今までのエラリー・クイーン像が上から下まで崩れますね←
この話で問われるのはヒルとプライアムの過去です。この2人の過去が分かれば事件の謎が解けます。あと警告の意味も。
しかし最後……最後、まさかの展開。
いいのか? いいのか!? 確かに「なんかおかしい」とは思ったけどさ……エラリーの神経は図太いのかそれとも何本か抜けているのか……
あと本書は途中で朝鮮戦争が勃発します。それを受けて語るローレルの言葉はかっこいいです。すべての出来事は大小と優劣を問わず、きっと同じものでできているかもしれません。
「悪の起源」でした(・∀・)/
次回はカーター・ディクスンで「青髭の花嫁」です(*^o^*)/~