〈猫〉が歩いた後に残すのは死体とその命を奪ったタッサーシルクの紐だけ。
推理することに傷つけられたエラリー、再起なるか。
◇九尾の猫◇ -Cat of Many Tails-
エラリイ・クイーン 越前敏弥 訳
次から次へと殺人を犯し、ニューヨークを震撼させた連続絞殺魔〈猫〉事件。すでに五人の犠牲者が出ているにもかかわらず、その正体は依然としてつかめずにいた。指紋も動機もなく、目撃者も容疑者もまったくいない。〈猫〉が風のように町を通りすぎた後に残るものはただ二つ――死体とその首に巻きついたタッサーシルクの紐だけだった。過去の呪縛に苦しみながらも、エラリイと〈猫〉の頭脳戦が展開される! 待望の新訳版
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先の事件で探偵であることをやめたエラリーがふさぎこんでいた頃、NYでは恐ろしい事件が起こっていた。
無差別殺人鬼が横行していたのだ。その名は〈猫〉。その〈猫〉は手がかり1つ残さず命を奪い、死体とその首に巻かれたタッサーシルクを残して消えていく。しかも殺された被害者には共通点が1つもなく、事件捜査は難航していた。
父たるクイーン警視らNY警察はエラリーを特別調査委員に加えることを考えていた。エラリーは苦しみながらも腰を上げ、頭脳をフル回転させる。被害者をつなげる共通点とは? 〈猫〉とは一体何者なのか?
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「九尾の猫」です(・∀・)
エラリー・クイーン初の無差別事件です。
人がどかっと死んでいきます。しかも「共通点が見当たらない」という条件の下に!
さて、調べてみますと無差別殺人作品ーーーリッパー物といっても厳密には2つに分けることができるそうです。
1つはアガサ・クリスティーの「ABC殺人事件」のように殺人の動機が明確で読者の常識内の範疇にあるもの。
2つは犯人がサイコキラーのような精神異常者で動機が理解できないーーー読者の常識外の範疇にあるものです。
「九尾の猫」はどちらのタイプでしょう?
読めば自然に分かります。だってそれがこの作品を他のエラリー・クイーンを異色なものにしているから。
そしてもう1つ。
殺人事件が社会情勢に影響した。
うーん、これ、いまのアメリカそのもののような気がする!
うーん、無視できない! なるほど、アメリカはこうやって殺人と付き合うことになったのか……←
さて、エラリー。
この事件でひどく傷ついたエラリーはそのショックで事件に首を突っ込むことをやめました。クイーン警視が慰めても宥めても諭してもエラリーは頑固に動きませんでした。
エラリー、復活!
またもエラリーは捜査上に復活します。ただし「機械人間」ではなく、「傷つく生身の人間」として。あとラストの言葉はそのままエラリーの墓碑銘にすべきだと思います。
「九尾の猫」でした(・∀・)/
次はアシモフであのディヴィッドとビッグマンが木星で活躍します! お楽しみに(*^o^*)/~