森博嗣◇すべてがFになる◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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完全密室の中の殺人ーーコンピュータと謎が錯綜する。

 
 
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◇すべてがFになる◇ -The Perfect Insider-
森博嗣
 
 
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
 
 
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「先生……、現実って何でしょう?」
萌絵は小さな顔を少し傾けて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」
犀川はすぐに答えた。「普段はそんなものは存在しない」
 
 
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西之園萌絵は天才と謳われる真賀田四季と映像越しであるが、対面を果たす。真賀田四季は工学博士として天才的だったが、とある理由から孤島のハイテク研究所に完全に閉じこもって生活し、人に会おうとしなかった。
 
 
萌絵の先生であるN大助教授犀川は真賀田四季に興味を持ち、会ってみたいと言う。萌絵はその孤島ーーー妃真加島を毎年行っているキャンプの会場にすることでその願いを叶えようとする。
 
 
なんとか真賀田四季の研究所に入り込んだ萌絵と犀川。しかし真賀田四季の部屋から四肢を切断されたウェディングドレスを着た女の死体が発見される!
 
 
完全密室の中、それも24時間カメラが回る中、誰が入り込んだのか。そしてかつて真賀田四季に容疑がかかった親殺しの真相は。そして謎の言葉「すべてがFになる」の意味とは!?
 
 
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「すべてがFになる」です(・∀・)
 
 
バリバリ理系ミステリーです。
前にも書きましたが、わたしは数字とかコンピュータとか理系はからっきしダメな超文系人間。わたしが推理小説を読み始めたと聞いてある人が貸してくれたのですが、ずーっと読んでいませんでした(だって理系ミステリーなんて難しそうだもん)。が、「このまま借りパクもまずいよね」と読んだ次第です。
 
 
もともと作者の森博嗣自身が工学博士なんですよね。これを書いていた時は某国立大学でその助教授をやっていたらしいです。
まんま犀川助教授です。
作家以外にも専門の道があるのというのはかなりの強みだと思います。
 
 
さて、本書は第1回メフィフト賞を受賞したデビュー作。もともとはシリーズの1巻のつもりではなかったそうですが(当初はシリーズ4巻作品だった)、派手な方がいい! という編集部の意見の下、これが1巻として刊行されたそうです。
 
 
うーん、コンピュータ知識と工学が凄すぎる!
この話は1994年が舞台なのでコンピュータなんて専門家以外は縁のなかった時代です。かなり最先端を行った作品だったと思います。この時代に「ハッカー」と「クロッカー」の区別がついた人が何人いただろう?
 
 
また萌絵と犀川助教授の会話が哲学的です。上記の「現実とは?」とか。
あと第8章「緋色の秩序」で「はだかの太陽」のソラリアが実現させたコンピュータ超依存が犀川の口から語られてゾッとしました。
 
 
……うん、理系ミステリーは勉強になるし、考えさせられます。
「すべてがFになる」でした(・∀・)/
次こそエラリー・クイーンが「猫」と対決します(*^o^*)/~