チョコレート菓子に、芝居の真っ最中に毒を入れた殺人者とは?
フェル博士が心理学の扉を叩く!
◇緑のカプセルの謎◇ -The Problem of the Green Capsule-
ジョン・ディクスン・カー 宇野利泰 訳
小さな村の菓子屋で毒入りチョコレートが売られ、子供たちのなかから犠牲者が出るという珍事が持ち上がった。ところが、犯罪研究を道楽とする荘園の主人が毒殺事件のトリックを発見したと称して、その公開実験中に、当のご本人が緑のカプセルを飲んで毒殺されてしまった。事件も単純、関係者も少数であったが、関係者はそれぞれ強固なアリバイを証明しあうので、謎の不可解性は強くなるばかり。さて、カプセルを飲ませた透明人間は誰か? 作者が特に「心理学的手法による純粋推理小説」と銘うつ本編は、フェル博士の毒殺講義を含むカーの代表作。
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エリオット警部はイタリアで観光中のとある一家を目撃する。彼は後々これを思い出すことになる。
というのも彼らはエリオット警部が調査する事件の関係者だったのだ。エリオット警部は小さな町で起こった毒入りチョコレート事件の調査をすることになる。
毒を盛った方法がわからず、頭を悩ますエリオット警部らのところに容疑者と疑われるマージョリーの叔父マーカス・チェズニィが死んだとの知らせが入る。
犯罪学に凝っていたマーカスはマージョリーたちの前で実験と称して劇を見せた。全ては劇のはずだったーーー共演者のエメットが殴られ、マーカスが呑まされた緑のカプセルが本物でなければ!
エメットを殴り、共演者になりすましたのが犯人、そして容疑者はそう多くない。観た者だけのはずなのだが皆、強固なアリバイを持っていた。しかもマーカスが遺した質問の答えは皆、ことごとく食い違いーーー!?
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「緑のカプセルの謎」です(・∀・)
ディクスン・カー十八番の怪奇幻想一切なしの純粋推理物です!
題名からして怪奇色ゼロです。同じ、色名がついた題名でも「黄色い部屋の謎」とは大違いですね←(10月にハヤカワから新訳が出ますね。ディクスン・カーの新訳は11月にバンコランものの「髑髏城」が出ます。ブッ◯オフでわざわざ買ったのに……ショックだ!)
しかも心理学がふんだんに登場します。この頃から少しずつ怪奇色が遠のいていき、人間が焦点に当てられます。
マーカスの遺した質問には恐れ入ります。
質問が食い違った理由も心理学によって合理的な説明がつきます。ここまでいくと怖いよ。
さて語り役を務めるのはエリオット警部。実は「曲がった蝶番」にも登場してますね。
容疑者の1人をほとんど一目惚れ同然で好きになってしまいます。
公私混同はだめだよ! と突っ込みたいですが、それはまぁ置いておきましょう←むりやり
「緑のカプセルの謎」でした(・∀・)/
次は再び宇宙へ! 「宇宙気流」です(*^o^*)/~