この屋敷には「殺人者と恐喝者」の2人が存在するーーー!!
H.M卿、回想録口述と事件調査を同時進行させる!
◇殺人者と恐喝者◇ -Seeing is Believing-
カーター・ディクスン 高沢治 訳
余の出生は一八七一年二月六日、サセックス州ーーヘンリ・メリヴェール卿の口述が始まった。心打たれる瞬間である。しかしその折も折、変事が突発した近傍のフェイン邸へ出馬を要請する電話が入った。家の主人が刺されて亡くなり、手を下した人間は判っているが状況は不可能を極めているという斗柄もない事件である。秘書を従う捜査の合間も口述を進めるH.Mの推理は如何に。
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殺人は目の前で起こった。
美貌の妻ヴィッキーは夫アーサーがポリー・アレンという娘を殺害したことを知った。どうやら居候の叔父、ヒュバートもそれを知っており、それどころかそれをネタに恐喝していることも。
ヴィッキーはなに食わぬ顔でパーティーを開き、招待客の1人がヴィッキーを相手に催眠術を披露することに。
内容はダミーの拳銃とナイフのいずれかで夫アーサーを殺すというもの。
しかしアーサーは招待客の目の前で絶命した! ナイフが本物とすり替わっていたのだ!
一体誰がすり替えたのか? しかし調べるうちに誰にもその機会がなかったことに気がつき、彼らは回想録の口述をしていたH.M卿を引っ張り出すことに。
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「殺人者と恐喝者」です(・∀・)
2人の犯罪者が登場します。
しかも最初から犯罪の告白をするんだから驚きの序文です。
この序文でいきなり読者をカーマジックにかけます。題名の真の意味はこれだ!
今回は「読者よ欺かるるなかれ」と同じく超能力という立証の難しいものを扱うもの。
しかしここで注目したいのは本書で問うているのは催眠術が本当にかかったか否かではなく、誰がナイフをすり替えたか? ということです。
ただトリックは「えー……(´□`。)」でしたが(苦笑)
さて、探偵H.M卿。
回想録の口述をしてます。
ここでH.M卿の半生が明かされます。伯父に対する悪行の数々が明かされます(爆笑)。内容が内容なのでそれを速記しているコートニーも困り果てます(苦笑)
本書の語り手コートニーは文章の書かない人のために文章を書き上げるゴーストライター。H.M卿の回想録口述の速記を引き受けた&フェイン家の招待客の1人の友達という縁でこの事件に巻き込まれます。
やっぱりロマンス。
クリスティーもそうでしたが、英国推理小説家は語り手と登場人物の恋愛を挟むのが好きなんですかね? テンプレなんでしょうか。
ロマンスがあるとちょっとホッとします。始終事件事件じゃ疲れるし(苦笑)
「殺人者と恐喝者」でした(・∀・)/
次回は「黒後家蜘蛛の会 5」です(*^o^*)/~