その殺人現場には殺人者だけしか見えない窓ーーー「ユダの窓」が存在するーーー!?
敗戦濃厚の裁判に挑むH.M卿に勝利の凱歌は鳴り響くのか!?
カーター・ディクスン 高沢治 訳
アンズウェルは、結婚の許しを乞うため恋人の父親を訪ねた。勧められるままに飲み物を口にした彼は、喉に異様な感触を覚え意識を失ってしまった。20分ほど経ったであろうか、眼を醒ました彼が見た光景は、完全な密室と化した部屋で、胸に矢を射ち込まれて事切れている将来の義父の姿だった……当然のごとく彼は殺人の容疑に問われ、ロンドン中央刑事裁判所で裁かれることとなった。訴追者側の厳しい追及に対し、アンズウェルの無罪を信じるH・M卿は〈ユダの窓〉の存在を主張し敢然と立ち上がった! 巧妙なトリックを駆使して綴る密室ものの名作。
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状況、圧倒的不利。
ジェームズ・アンズウェルは婚約者メアリの父親殺害の容疑で裁判に立つ。
彼は無罪を出張しているものの、殺人現場には被害者とアンズウェルしかいなかったこと、薬物を飲まされた痕跡はなく、そのウィスキーもそこに残っていなかったことから状況はかなり不利。さらに会見の直前にアンズウェルに対する被害者の態度が険悪なものになったことから動機も明らかに。
アンズウェルの弁護にあたるのはン何十年ぶりに法廷に立つH.M卿。果たしてアンズウェルは無罪を獲得することができるのか……?
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「ユダの窓」です(・∀・)
H.M卿、弁護に立つです。
初っ端から場所は法廷。それどころかこの話、大部分が法廷と裁判風景です。
なので本書は本格推理よりも法廷ミステリーの香りがします。
というか「ユダの窓」って題名、いいですよね。
H.M卿は陸軍省勤務ですが、弁護士の資格も持っています。
……とは言え、ここ何年も弁護は引き受けてません(爆)。
「そんな状況で弁護受けて大丈夫なの!?」って感じですが、さすがはH.M卿。わしがやるって言ったらやるんじゃよ( ̄ー ̄)
ただ初っ端から服の裾踏んでビリリと裂いちゃいましたが(笑)
今作で初めてまともにH.M卿の秘書ロリポップが登場。ロリポップって本名だったのか←
語り手ケンとイヴリンはすっかりお馴染みになりました。一般傍聴席でH.M卿の暴言にヒヤヒヤしたり、お爺ちゃん呼ばりしたりしながら拝聴しています。
さて、本作。
被告人アンズウェルは本当に無罪なのか?
無罪なら犯人は誰だ?
アンズウェルに対する被害者の態度急変の理由は?
ーーーと魅力的な謎が勢揃いしています。
状況が不可能犯罪である分、謎解きのスリルは倍増です。さらに隠された謎と人間関係も重厚です。
オススメです!
「ユダの窓」でした(・∀・)/
次回はすっかり恒例となったヘンリーと黒後家蜘蛛の会の皆さんです(*^o^*)/~