エラリー・クイーン No.15◇ニッポン樫鳥の謎◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

日本精神を持った女性作家の秘密とは?

都会の喧騒を離れた日本庭園に住む樫鳥にある謎を解け!
 
 
{1B9BC125-367F-41AE-9309-D199703B88F0:01}

 
◇ニッポン樫鳥の謎◇ -The Door Between-
エラリー・クイーン 井上勇 訳
 
 
東京帝国大学教授の令嬢二人が、時を同じくして不可解な「自殺」を遂げた。しかも、妹は花形の流行作家であった。ニューヨークの心臓部に近い、閑雅な詩趣を誇る日本庭園のなかをかけめぐる「かしどり」は、どんな秘密をついばんでいたか? ノーベル賞受賞の医学者とエラリー・クイーンがしのぎを削る知恵比べは、果たしてどちらに凱歌があがるだろうか? 転換期の力作。
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
小説「八雲立つ」でアメリカで名誉ある文学賞を受賞したカーレン・リース。その祝いで自宅と日本庭園を一般に開放することに。
 
 
カーレンはアメリカを捨て、日本に深く心酔し、日本文化を深く愛する謎の多い女性だった。彼女はマクルア博士と婚約し、幸せの中にあった。
 
 
そんな彼女が自宅で刺殺体となって発見された。しかも容疑者がマクルア博士の養女エヴァしかありえないという状況下の中で! そこに謎の男が登場し、彼女から容疑をそらそうと一計を案じるが、かえって事は混乱してしまう。
 
 
ニューヨーク警察はエヴァを容疑者として追及する。しかしエラリーはエヴァと謎の男テリーを信じ、独自に調査する。そこから明かされたのはカーレンの過去と秘密だった!
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
「ニッポン樫鳥の謎」です(・∀・)
 
 
本書は国名シリーズにくくっていいのか、除外すべきなのかはっきり断言できないですが、「中途の家」と同様、国名シリーズからシリーズにとらわれない作品を書こうとした間に書かれた作品ということで、やっぱり国名シリーズに括ります。
 
 
でも角川文庫発「国名シリーズプラスワン」で本書が出たら買います。だって、
丁寧語と親父呼ばりするエラリーにすっごい違和感があるんだよおおおおお!!
ジャケットのかっこよさも理由の1つですが←
 
 
「ローマ帽子の秘密」の解説で「親子なのに丁寧語ってどうなの、違和感あるよね」という理由の下、リチャード・パパに対するエラリーの口調をくだけたものにした。と書いてあったのを思い出しました。
確かに違和感バリバリだ。
 
 
そして、
日本、推理小説に初登場。
 
 
推理小説で東洋が登場することは稀で、そのほとんどが中国でした。日本なんて、日本なんて……全然出てこない←
中国よりも東。島国で文化は中国と似ても似つかない。鎖国のおかげで入ってくる情報はか細く、そのせいでいささか誇張と語弊まじりに伝わった日本。
 
 
「アメリカよ、これが日本だ」
かなり突っ込みたい。
なんか細かいところでズレているというか、偏見があるというか。
その日本語、使うところがおかしい。
この時の日本文化は着物にお茶でしたが、今だったらアニメと漫画になるのかな←
エラリー、今度満員電車に連れてってあげる←しつこい。
 
 
さて、カーレン。ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲、ドナルド・キーンのように日本文化を愛しており、帰化していても不思議ではないほど日本精神を持った女性。
 
 
この事件はカーレン・リースという女の過去と秘密が明かされることでどんどん謎が解明されていきます。
やー、なにこの女。
 
 
そしてエラリー、最後……複雑な終わり方です。エラリーがどんどん人間になっていきます。
いや、今までも人間でしたが←、血が通っているように見えないというか。弱さとか苦悩するとかないんだろうな。と思っていたんですよ、わたし。
 
 
エラリーがどんどん弱さとか苦悩を顕にしていくところも転換期と言えます。
 
 
かくして国名シリーズは本当に終幕を迎えました。これからの長編にはジューナも出ませんし←、国名シリーズ初期で見えた犯罪捜査機械なエラリーはもういないのです(もし角川文庫発「国名シリーズプラスワン」が出たらジャケットだけここでアップします)。
 
 
「ニッポン樫鳥の謎」でした(・∀・)/
次回、H.M卿でお待たせしました、「ユダの窓」です(*^o^*)/~
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ねぇ、エラリー、ハラキリないし切腹って女の人には許されず、男、それも武士だけの特権だってことも分かってたよね?」
「…………」