殺人者たる「銃弾」はどれにも当てはまらない「第三」者の拳銃のものだった!?
マーチ大佐の原型、マーキス大佐登場!
◇第三の銃弾【完全版】◇ -The Third Bullet-
カーター・ディクスン 田口俊樹 訳
密室で射殺された元判事の死体の傍らには、拳銃を握りしめた青年がたたずんでいた。しかし、被害者を襲った凶弾は青年の銃から発射されたものではなかった……。この不可解で錯綜した事件に挑むマーキス大佐は、不可能犯罪の巨匠が創造したシリーズ探偵マーチ大佐のプロトタイプ。従来の簡約版では、エラリイ・クイーンのひとりフレデリック・ダネイにより大幅に削除されていた部分を、完全復元した待望のオリジナル版!
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犯人は、複数?
ロンドン警視庁警視監マーキス大佐は部下であるペイジ警部からモートレイク判事殺害事件の調査報告を受ける。
ペイジ警部はモートレイク判事殺害事件に頭を抱えていた。
モートレイク判事はペイジ警部の目の前で、目の前にいた人物が持っていた拳銃によって殺害された。と思った。その男ーーーホワイトの拳銃を見るまでは!
その拳銃とモートレイク判事を殺した弾が合わなかったのだ。しかも弾は2発発射されていた。判事、ホワイト、ペイジの他に殺人者が潜んでいたのか。
そこにもう一つの拳銃が登場し、その拳銃がいよいよ殺人の弾かと思われたが、警察医がそれを否定した!
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「第三の銃弾」です(・∀・)
これは非常に数奇な運命を辿った小説でして、
①1937年にホッダー・アンド・スタウトン社から〈イラスト入りスリラー〉シリーズの1つとして刊行。
②売れ行き芳しくなく、シリーズ打ち切り。重版もなく、絶版に近い状態に。
③約十数年後、風邪をひいたフレデリック・ダネイが〈イラスト入りスリラー〉シリーズの一冊を読んで「第三の銃弾」の存在を知る。→発見!
とまぁ、昨今、盛んな復刊発行パターンですよ。
フレデリック・ダネイは皆さんご存知、エラリー・クイーンの片割れですが、その時、なにを考えていたのか←再刊するにあたって、一部をカットしたのです。
えーっ、カットするの? しちゃうの!? そこに手がかりあったらどーするんだ!? 言わずもがな。重要な手がかりがいくつか落ちてしまいました。
本書はそのカット部分も全部入れた完全版。しかし本書が刊行されたのは2001年。しかもなかなか手に入らない。
「ダネイバージョンのしか読んでないよ!」というファンも多いかもしれない……
そんな「第三の銃弾」。「三つの棺」と同じく、不可能犯罪と現場から犯人消滅型。
うーん。なんというか、とんとん拍子に終わっちゃうのね、これ……と思ってしまいました。
これは話が短いです。もともと〈イラスト入りスリラー〉シリーズはそれも売りにしていましたから。
展開速いよ! 感が否めません。かといって容疑者がある程度分かっている中で何日も調査していたらそれも違和感ですが(苦笑)
しかし目が離せない状況に陥り、おかげで1日で読み終わりました←
ただトリックはあ! なるほど! と素直に納得しました。最後のマーキス大佐のセリフは従来の探偵小説に意見しています。
そんなマーキス大佐はこれが最初で最後の登場ですが、「不可能犯罪捜査課」のマーチ大佐の原型になりました。ディクスン・カーの探偵ってみんな似たような性格だな←
「第三の銃弾」でした(・∀・)/
次はチェスタトンで「四人の申し分なき重罪人」です(*^o^*)/~