犯人から被害者へ。または被害者から犯人へ。
◇伯母殺人事件◇ -The Murder of My Aunt-
リチャード・ハル 中村能三 訳
伯母が生きている限り、ぼくは厭うべきこの土地からも、専横的な伯母からも、離れることはできないーーー。伯母とぼくの生命を賭けた虚々実々の闘いの行方は? <犯人の手記>というユニークなスタイルで完全犯罪の計画から遂行までを描く「伯母殺人事件」。その他にセイヤーズの短篇「疑惑」「アリババの呪文」を収録。
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ついにセイヤーズ女史と会えました(^_^)
が、まさかまさかのリチャード・ハル氏も一緒にやって来ましたwww
むしろリチャード・ハルの方が主体だったという(笑)
本当はハルもセイヤーズも一緒に紹介しようと思ったのですが、
この話だけで書きたいことがいっぱいになるのが予想されたので、ハルとセイヤーズを分けます!
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うんざりするほど何もない、嫌な田舎町。そして支配的で批判的な伯母。その2つに雁字搦めにされた僕はとある出来事をきっかけに秘めていた決意を実行することにした。
僕は自分が疑われることなく、伯母を殺す方法を模索し、実行するがーーー
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推理小説のジャンルの1つに「倒叙」と言うものがあります。
「時間の流れを逆に遡る」という意味ですが、
ネタバレにならないように「倒叙」ものとは!? と分かりやすく言うと
「刑事コロンボ」と「古畑任三郎」と「福浦警部」です(いや、もうダメです」)
「倒叙」ものと呼ばれる推理小説の最初はフリーマン(ソーンダイク博士の生みの親です)の「歌う白骨」だと言います。
「倒叙」に注目し、発展させたのがクロフツ(フレンチ警部の生みの親です)です。
現代に至るまで「倒叙」は推理小説のメインスタイルであり続け、
中でもフランシス・アイルズの「殺意」、
F・W・クロフツの「クロイドン発12時30分発」、
そして本書、リチャード・ハルの「伯母殺人事件」が倒叙三大名作と言われています。
そんな「伯母殺人事件」は辺鄙で閉鎖的な田舎町と専横的で支配的で批判的な伯母の2つから逃れるために殺人計画をたてます。
やー、こんな伯母さんだったらやだなぁ。分かるよエドワード。繋がりの濃い親でもこんなことされたら、うんざり! なのにそんなに繋がりのない伯母とさんに支配されるのはさらにうんざりだよねぇ(;´Д`)ノ
同情しちゃうよ。
主人公エドワードは確かにぐうたらですが、どうしようもないぐうたら。というわけじゃないんですよ。
なのにそれが……うん。後半、エドワードの身が危ぶまれて哀れです、はい。
殺人犯にここまで同情するなんて……
そして一番怖いのは最後の一言です。
「伯母殺人事件」でした(・∀・)/
続けてセイヤーズ女史です(*^o^*)/~