ピーター卿のさらなる活躍、あるいはセイヤーズ女史の考察。
◇顔のない男 ピーター卿の事件簿Ⅱ◇ -More Tales of Lord Peter-
ドロシー・L・セイヤーズ 宮脇孝雄 訳
黄金時代を担ったミステリの女王セイヤーズ。本書は、特異な動機の究明が深い余韻を残す表題作、不思議な遺言の謎を解くウィット満点の「因業じじいの遺言」、幻想味豊かな「歩く塔」等、貴族探偵ピーター卿の魅力溢れる七編に、セイヤーズが実在の犯罪事件を推理する「ジュリア・ウォレス殺し」と必読の歴史的名評論「探偵小説論」を併載した、待望のオリジナル短編集第二弾。
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セイヤーズ女史終盤もあと少し。
今回はピーター卿の事件簿Ⅱと名付けて「顔のない男」。番外編その2です。
あと終わり2つは実際の事件に対する考察と探偵小説というセイヤーズ女史の考えた方が載っています。
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1.顔のない男
(The Unsolved Puzzle of the Man with No Face)
……海岸で顔が潰された男の遺体が発見された。ピーター卿が話す"お伽話"は真実へ近づくのか。
2.因業じじいの遺言
(The Fascinating Problem of Uncle Meleager's Will)
……メアリ嬢の知り合いのおじが奇妙な遺言を遺した。なんとかお金が欲しい進歩的考えの彼女のため、ピーター卿はゲームに立ち向かう。
3.ジョーカーの使い道
(The Unprincipled Affair of the Practical Joker)
……ダイヤモンドの首飾りと昔の弱みを盗まれた女性のため、ピーター卿はひと肌脱ぐ。
4.趣味の問題
(The Bibulous Business of a Matter of Taste)
……「殺人は広告する」でお馴染みデス・ブリードン氏。彼の目の前に現れたのはなんと2人のピーター卿!?
5.白のクイーン
(The Queen's Square)
……ピーター卿と母の先代公爵夫人が出席する仮想舞踏会で殺人事件発生!
6.証拠に歯向かって
(In the Teeth of the Evidence)
……憂鬱な歯医者さんに行った日、ピーター卿な歯科医から殺人事件の話を聞く。決め手になったのは歯の治療の跡?
7.歩く塔
(Striding Folly)
……幻想的な夢とチェスプレイヤー。チェスの試合の前後して殺人事件が起こる。チェスプレイヤーの存在は夢だったのか?
8.ジュリア・ウォレス殺し
(The Muder of Julia Wallace)
……実際にあった殺人事件をドロシー・L・セイヤーズが考察する。
9.探偵小説論
……セイヤーズが唱える探偵小説とは。
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バラエティーと心理に富んだ一冊となっております。
特に表題作「顔のない男」と「歩く塔」は幻想と御伽が混じって世にも奇妙な物語風で面白い後味です。
「趣味の問題」はまさかまさかのピーター卿の偽物現るというお茶を噴きそうな←汚い。内容。ピーター卿のワイン通が光ります。
「ジュリア・ウォレス殺し」は一時夫に有罪判決が出たものの、一転無罪となり、後に正式に無罪が確定した奇妙な事件。偽の名前におびき出され、翻弄される事件はそうないでしょうね(((゜д゜;)))
「探偵小説論」は非常に興味深い内容だと思われたのですか、ネタバレ多数! ということで流し読みです、ごめんなさいm(_ _)m
「顔のない男」でした(・∀・)/
次回、いよいのギデオン・フェル博士が登場!