アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?

イスラエルと聞いてあなたはどのようなイメージを想い描くだろうか?
「テロ」「紛争」「パレスチナ問題」「資源に乏しい」などなど、どちらかと言えばマイナスのイメージを想い描くのではないだろうか?
イスラエルに対してあまりよろしくないイメージを抱いている人ほど本書を読めば強い驚きを覚えることだろう。

信じられないかもしれないがイスラエルは今やイノベーションの聖地となっている。現に世界的な企業の経営者もイスラエルの創造性を褒め称えている。以下にその一部を抜粋してみよう。

「(アメリカは企業家にとって世界最高の国であるが)アメリカを除けばイスラエルが最高」
グーグルCEO兼会長エリック・シュミット

「二日間イスラエルに滞在しただけで、私はイスラエル以外の世界中の国で一年過ごすよりも多くのチャンスを目のあたりにしました。」
フィリップス・メディカル上級副社長ポール・スミス

「何度も使い回されたアイデアとは対照的に、つまり新しい箱に入れ替えただけの古いアイデアとは対照的に、イスラエルでは、革新的なアイデアが次々に生まれています。その数は今ではシリコンバレーよりも多いのです。世界的な経済不況の時期でもその勢いは衰えを見せませんね。」
ブリティッシュ・テレコムのテクノロジー・イノベーション担当副社長ゲーリー・シャインバーグ

「われわれは自分たちの経済規模をアメリカと比較して2倍にし、その一方で人口を5倍にしながらしかも戦争を3回経験しています。これは世界の経済史上、全く例がありません。」
イスラエル人政治経済学者ギギ・グリンシュタイン

およそ半世紀前のイスラエルの経済はどん底の状態だった。当時のイスラエル人の生活水準は1800年代のアメリカと変わりがなかった。それが60年で経済を50倍成長させ、荒涼としていた国土を世界で最もダイナミックな企業家精神あふれる経済国の仲間入りをするまでに生まれ変わらせた。この奇跡とも言えるイスラエルの成長の要因は何なのか?

イスラエルは領土と人口の両面でも小さな国であり、資源も乏しい。イスラエルそのものは決して巨大な市場にはなりえない。イスラエルにとっての唯一の選択肢は、創造力を駆使することだった。ではイスラエルの創造的なエネルギーはどこから生まれてくるのか?

本書はそのような疑問に対し具体的なエピソードを交えながら紹介していく。読んでいく過程で読者はイノベーションとはどのような環境で生まれるものなのかを目の当たりにするだろう。イスラエルの創造的なエネルギーの源はその文化にある。それがイノベーションを起こしやすい環境を創り、失敗を恐れないチャレンジングな企業家の背中を後押し、経済を支える斬新なアイデアが次々に生まれるのである。

文化を真似することはできない。それゆえにある特定の文化の上においてのみ成り立つシステムだけを借用しても、決して使いこなすことはできない。現にシンガポールはイスラエルの軍隊制度(イノベーションを起こす一つの要因となっている)を借りることを試みたが、文化的な特性の違いにより、結局うまく機能しなかったらしい。シンガポール文化にはイスラエル文化にある3種の特質「進取の気質」「リスクテイク」「機敏さ」がなかったのである。

本書はイスラエル経済の奇跡の物語だ。新しいことを考えていかなければならないこの時代にこそふさわしい物語である。



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