桜坂 洋 著 All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

「ギタイ」と呼ばれるエイリアンが地球に襲来してから20年が経過した。人類の居住領域はギタイによって徐々に征服され、水際でなんとか食い止める劣勢の状態が続いていた。
そんな切迫した世界のとある戦場で、数奇な運命に巻き込まれた一人の初年兵がいた。この物語の主人公キリヤ・ケイジである。物語は彼がギタイとの戦闘により、いきなり戦死してしまうところからはじまる。

ケイジは確かに戦死したはずだった。しかし再び目を覚ますと、出撃前日の朝に戻されるという奇妙な状況に陥る。ケイジはその日以来、死ぬたびに何度も過去に戻される時のループに閉じ込められてしまったのだった。出撃と戦死を繰り返し、死すらも日常化される毎日。時のループから抜け出す方法を探るというケイジにとっての別の戦いがはじまった。

本書は緻密につくられた時間SF小説であり、かつライトノベルということで非常に読みやすく仕上がっている。「萌え」という要素があることだけがライトノベルの定義ではないことを思い知らされた。そもそもライトノベルの定義はあいまいであるらしいので、これからは様々な作品が生み出されるだろう。

本書のクライマックスもこの作品全体の底流に流れるシリアスな雰囲気に見事にマッチしたものだった。決して明るい終わり方ではない。しかし、主人公の未来に対する決意が後味のよい終わりをつくりだしている印象を受けた。
本書は既存のライトノベルとは一風変わった作品だ。大衆受けはしないだろうが、間違いなく評価されるべき作品といえる。

ちなみに本作品はハリウッドでも映画化の予定があるらしい。(主演:トム・クルーズ、監督:ダグ・リーマン、アメリカでの公開は2014年3月14日)
今の内にチェックしておいて損はないライトノベルだろう。