<半革装5>ルリユール制作過程 | ryoko’s 手製本ジャーナル

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ご無沙汰しております。

今頃で恐縮ですが、2018年最初の投稿です。今年もどうぞよろしくお願いします。

 
今年は、少なくとも2冊は国際コンクール向けの本を作るつもりです。完成&出品は来年ですが、制作の大半は今年です。時間をうまく使わねば!
 
さて、前回は天小口の装飾についてでした。次は出来上がった本文に表紙の芯材となる、ボール紙を綴じ付けます。
 
ここがこの製本の最も特徴的な所。製本名にもなっています。表紙ボール(紙)を本文を綴じた糸で付けるから綴じ付け製本。フランス語ではパッセカルトンですが、パッセ=通す、カルトン=紙、だそうです。
 
この画像にあるように、本文を綴じた麻糸がピョロっと出ています。これをボール紙に通すのです。
 
ボール紙にはあらかじめ糸を通すための穴をあけます。
 
麻糸を通しているところ。表から通します。
 
通した麻糸は裏面で短くカット。その後、抜けないように糊付けします。
あとの工程で、今回取り付けたボール紙に革を貼り付け表紙を作るんですよ~。
 
この製法に対して、現代的で簡易な製本、商業的な製本では、ボール紙を革や布、紙などの表紙材でくるんで一体化した表紙を先に作ります。それを本文に接着して仕上げます。
 
↑こんな感じの表紙。こちらはくるみ製本と言います。
 
一見、2種の製本法による外観上の違いは無いように思えますが、背の両サイドにの有る無しでハッキリと違いが分かります。
 
こちらはくるみ製本。溝有り。
 
上2点は綴じ付け製本。溝は無い。
本の開きやすさという実用性から言うと、実はくるみ製本の方が優れていますが、やはり溝無しが美しいなぁ。
 
とってもマニアなお話になりましたが、今日はここまで。続きはまた。