求道 | 想いが伝わる本を書くブログ

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武蔵野デジタル出版社長の牛田肇がモーモーするブログです♪

建築家の安藤忠雄氏は、
建築の仕事に就こうかと
育ての親である祖母に相談した。
祖母は、

「何があっても絶対にあきらめず、
 全力で取り組むんやったら、
 好きにしたらええ」

とだけ言った。

が、何をどう勉強すればよいか
分からない。
大学の建築学科に進んだ友人に頼み、
授業で使う専門書を売ってもらった。
本を読んで読んで読みまくった。

建築に関係ありそうなことは
手当たり次第に通信教育などで
学んだ。

そのころ、建築家ル・コルビュジエの
作品集と出会った。
しかし、高価すぎて手が出ない。

ほかの客に買われないように、
書店に行くたびに本を下に移動させた。

数カ月後、やっと購入した。

眺めているだけでは飽き足らず、
図面を書き写した。
すべての図面を覚えてしまうくらい、
何度も何度もコルビュジエの線
をなぞった。

「実物を見たい」

その思いは日増しに強くなるばかり。

そして1965年、
20代の時に、アルバイトのお金で
7ヵ月間ヨーロッパを旅し、
ル・コルビュジエの作品を自分の目
で見て、体験することができた。

ル・コルビュジエが他界した直後で、
会うことは出来なかった。

(安藤忠雄「仕事をつくる 私の履歴書」、日本経済新聞出版社)