ちょっとしんどい言葉ですが、
振付師の夏まゆみさんは
「ムカついている相手にこそ
ありがとうを伝えなさい」
言います。
モーニング娘を担当していた時、
メンバーでの仲たがいが
起きてしまった。
メンバーの気持ちも心もバラバラの
まま、ツアーが開幕した。
勘がいい客なら、ピリピリした空気を
感じ取ったかもしれない。
それほどメンバーはバラバラだった。
夏さんは、このままツアーを
終わらせてはいけないと思い、
メンバーを呼び、
「もう許してやれ」といった。
怒らせた本人にも、たとえ無視されて
も誠意をもって謝るように助言した。
そして、最終公演にメンバーを集め
「今、一番ムカついている相手に感謝
しなさい」と言った。
それは
「怒らせた本人が
相手に感謝するのではなく、
怒らされた者が、本人に対して
『成長のきっかけをくれて
ありがとう』
という」
意味だった。
これは、
「失敗の原因を自分に戻す」
ことでもある。
「上手く踊れないのは、
相手のことを恨んでいるから。
それを相手のせいにしている以上
自分自身も輝けない。
原因は自分自身にある」
誰かを恨みに思っていても
いいことはひとつもない。
それどころか自分自身が損をする。
ムカつく相手に感謝の言葉を贈る
ことで乗り越えられる。
これは人生を豊かにする習慣である。
ステージは、その後見違えるほどに
すばらしくなり、最後はみんな笑顔で
別れていった。
（エースと呼ばれる人は何をしているか、夏まゆみ、サンマーク出版）