先生が言う「私についてきなさい」は
「たいした高みではないから、
さっさと上がってきなさい」である。
作家の橋本治氏はいう。
たいした高みではないと思えるのは
昔にそこへ上がったから。
何も知らず、
その高みを下から見上げている生徒
にとっては、それが
「たいした高みでない」
かどうかは別の話である。
「人間の理解は、
順を追って起こるもの」
教えられる側には、
教えられる側の筋道がある。
「わかるでしょ」
といくら念を押されても、
わからない者にはわからない。
「なにをどうわかればいいのか」
がわからない以上、
「わかった」
という理解は得られない。
(「わからない」という方法、橋本治、集英社新書)