作家丹羽文雄氏(1904-2005)は、
これから小説を書こうという人には
先ず私小説を書くことを
すすめている。
小説はフィクションであるが、
フィクションには客観性が求められる
その表現をする上で、
私小説は練習にもなる。
「私小説は、小説の形式の中に、
作者のノン・フィクション的な要素を
できる限り加える事ができる。
その中に、作者自身の生活と直結
している感情や考えを入れる。
日記ならば、
「私は驚いた」
と書けばいいが、
小説となると、
読者にも驚きの感じを抱いて
もらわなければならない。
これは、
「驚きの表現に客観性を持たせる」
ことなのです。
作者の一人合点の感動では
いけないのです」
(「小説作法」丹羽文雄、角川文庫)