日産のカルロス・ゴーン氏は
インタビューで、日産の衰退の原因を
逆に記者に尋ねた。
記者は、自身のノートを取り出して
「日産の衰退の原因は、
バブル崩壊にある・・・
不良債権と共に
消費者が財布の紐を締めた・・・」
ゴーン氏は話の途中で思った。
同じ状況にあったトヨタとホンダは
継続的な成長に成功している。
これは的外れな分析だ。
「では、それらを総合して、
あなたの意見を聞かせてほしい」
彼は困惑したが、
それは日産の人々の混乱と大差はない
一部の事実と情報にとらわれて
不完全な全体像を描いているのである
社員は、シェアの低下、
利益の出ないオペレーション、
膨れ上がる負債、
ライバル社の好調の傍らでの安月給。
もう現実にうんざりしていた。
「信頼できる新しい方向性」を
渇望していたのである。
(ルネッサンス~再生への挑戦~ カルロス・ゴーン 日産 ダイヤモンド社)