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本の虫太郎のブログ

本を読み、映画を見ての晴耕雨読の毎日。楽しいですよ。


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『地下鉄に乗って』(メトロにのって)

浅田 次郎(あさだ じろう)


面白さ ★★★☆☆(ホシ三つ)

ノスタルジック、胸きゅんの面白さ


 

作者/浅田次郎について


1951年、東京都生まれ。

自衛隊に入隊、のちアパレル業界他多数の職業を経験。

その間、投稿生活を続ける。

悪漢小説からスタートし、泣かせる小説から中国小説まで、

さまざまなジャンルの小説を書きまくる。

多筆で、日本の大衆小説を代表する作家である。


1995年 - 『地下鉄に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞
1997年 - 「鉄道員」で第16回日本冒険小説協会大賞特別賞。

      『鉄道員』で第117回直木賞
2000年 - 『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞。ベストドレッサー賞
2006年 - 『お腹召しませ』で第1回中央公論文芸賞と第10回司馬遼太郎賞
2008年 - 『中原の虹』で第42回吉川英治文学賞


【この本の内容】


主人公・小沼真次は、おしゃれ下着を売る、しがない営業マン。

父親は、巨大企業「小沼グループ」の創始者・小沼佐吉。

父佐吉は、戦後闇市から成り上がった伝説の人物。


本来なら小沼グループの跡取りのはずが、父親の暴力とお横暴に嫌悪し、

父とケンカして飛び出したままの人生を送っている。

弟から、父が重病との知らせを受けるが、見舞いにも行っていない。


同窓会に出た帰り、地下鉄の駅で、野平(のっぺい)先生と出会う。

ここから不思議な物語が始まります。


真次の乗った地下鉄は、なぜか新中野駅に着きます。

そこは、実家近くの駅。

時は30年をさかのぼり、東京オリンピック開催で沸く昭和39年に

なっていたのです。

タイムスリップした彼がそこで見たものは、

その日、地下鉄で自殺をした兄の姿だった。

優等生だった兄・昭一は、父親とケンカして家を飛び出し、

自殺をしたのでした。


兄を追いかける真次。

無事に兄を家まで送り届け、安心して、地下鉄でタイムスリップ。

現在に戻ります。

だが、現在の時に戻っても、助けたはずの兄は戻ることは

ありませんでした。

何故なのか。


真次には、家庭がありますが、別に付き合っている女性がいます。

同じ会社に勤めるデザイナーのみち子。

彼女だけが、真次の話を信じてくれます。


2回目のタイムスリップは、夢の中で始まります。

時は、昭和21年。

場所は、新宿東口。

闇市の中で、兄貴分として「アムール(黒竜江)」と呼ばれる

やくざな若者と出会います。

彼こそは、父・小沼佐吉の若き日の姿だったのです。


それからも、みち子とともに、過去にタイムスリップし、

家族の昔の姿と出会いを重ねます。

さあ、みち子との今後はどうなるのか?

タイムスリップはいつまで続くのか?


それは、読んでのお楽しみ。


どうしようもない過去の出来事を抱えた男が、

タイムスリップをする中で、見るものは、

あれほど嫌っていた父親の真実の姿だったのです。


風貌も考え方も一番父親に似ている真次。

だが、父親を一番憎んでいるのも真次。

そんな彼とみち子に衝撃の結末が待っています。


この本は、第16回吉川英治文学新人賞を受賞し、

舞台でミュージカルになり、映画にもなっています。

それだけこの本に魅力があるのでしょう。


地下鉄を題材にした、ノスタルジックで胸きゅんな物語。

ぜひ、あなたもこの本を読んで、タイムスリップしてみては

いかがでしょうか。



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『ぼんくら』

宮部 みゆき(みやべ みゆき)


面白さ ★★★☆☆(ホシ三つ)

宮部ワールド的キャラクターの面白さ


作者/宮部みゆきについて


1960年、東京深川生まれ。

法律事務所に勤務しながら、小説を書き始める。


ミステリー小説・時代小説や超能力を扱ったものも多い。

新しい工夫を取り入れており、「ブレイブ・ストーリー」のような

ファンタジー小説。

TVゲーム好きは有名で、ゲームになったものなどもある。


大沢在昌の事務所に京極夏彦とともに所属している。

オフィスの公式サイトの名前は、三人の名前を取って

「大極宮」としている。


ミステリーではあるが、ふんわりとした印象の文体で、

読み出すとやめられなくなる吸引力をもつ。


1987年- 「我らが隣人の犯罪」で第26回オール讀物推理小説新人賞受賞。

1988年- 『かまいたち』で第12回歴史文学賞佳作入選。

1989年- 『魔術はささやく』で第2回日本推理サスペンス大賞受賞。

1991年- 『龍は眠る』で第105回直木賞候補。

1992年- 『龍は眠る』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。

      『本所深川ふしぎ草紙』により第13回吉川英治文学新人賞を受賞。

      『返事はいらない』で第106回直木三十五賞候補。

1993年- 『火車』で第6回山本周五郎賞を受賞。同作で第108回直木賞候補。

1996年- 『人質カノン』で第115回直木賞候補。

1997年- 『蒲生邸事件』で第18回日本SF大賞受賞、第116回直木賞候補。

1998年- 『理由』で第120回直木賞受賞。同作で第18回日本冒険小説協会大賞国内部門大賞を受賞。

2001年- 『模倣犯』で第55回毎日出版文化賞特別賞を受賞。

2002年- 『模倣犯』で第5回司馬遼太郎賞と芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

2006年- 『名もなき毒』で第41回吉川英治文学賞を受賞。


【この本の内容】


場所は、深川北町の一角にある鉄瓶長屋。

初めて共同井戸の汲み替えをやったとき、赤くさびた鉄瓶が二つ出てきて以来、

この名で呼ばれている。


差配人・久兵衛が、つつがなく管理しており、また、煮売り屋のお徳が心としての

まとめ役を果たしていたので、長屋は平穏無事に日が過ぎておりました。


が、ある日、鉄瓶長屋で殺人事件が発生する。

この事件がきっかけで、差配人・久兵衛は、身を退く形で出奔してしまう。

その後任として、地主の湊屋総右衛門の遠縁にあたる若者・佐吉が

やって来て、新しい差配人となる。


主人公は、井筒の旦那こと、八丁堀の同心で、井筒平四郎。

面倒なことは大嫌いで、子供のような性格。

奥方は、元八丁堀小町といわれた美形。

面倒くさがり屋のせいか、同心なのに今まで面倒くさい事件には、

かかわったことがないという、非常に変わった御仁。

唯一の楽しみは、見回りの途中で寄る、お徳の店で食べる料理。


そんな中、よく出来た若者・佐吉が来て以来、鉄瓶長屋では、

小さな事件が立て続けに起こり、長屋の住人が、一人減り、二人減りと

くしの歯が抜け落ちるように、減っていきます。


さあ、これは偶然なのか?それとも、誰かの陰謀なのか?


一編、一編は、長屋を舞台にした人情劇なのですが、

ミステリーとして全てつながった長編小説になっているのです。


しかも、登場人物のキャラクターが異色です。私の好みです。

小平次/平四郎の中間。いつも合いの手は「うへえ」。

辻井英之介/平四郎の幼友達。あだ名は「黒豆」。

        今は、腕のいい隠密廻り同心。

        何かと探索で手助けをしてくれる。

弓之介/細君の次姉の子供。12歳。平四郎の甥になる。

     人目を惹くほどの美形少年。

     測量に凝っていて、何でも正確に目で測ってしまう特技を持つ。

    平四郎に会う早々、

    「叔父上さまの眉毛と眉毛の間は五分でございますね。」と言って、

    面食らわせてしまう変わり者。平四郎は、いたく気に入る。

    子供のいない細君は、弓之介を養子にしようとしている。


この弓之介が、平四郎について事件の探索に協力するが、

なかなかの探偵ぶりを発揮するのが、この小説の面白さでもある。

よって、このコンビは、次作「日暮らし」でも活躍する。


おでこ/本名は三太郎。12歳。

     役者のように可愛い顔をしているが、額が異様に広い。

     特技は、一度聞いたら覚えてしまうテープレコーダーのような

     もの覚えの良さ。

     深川の大親分 岡っ引きの茂七に大層可愛がられている。


事件も陰謀もそんなに大きなものではないのですが、次はどうなるのだろうと

期待をさせながら読み進めさせていく手際は、さすがです。

面白くて、「はんなり」とさせる小説です。

間違いなく、平四郎と弓之介のコンビの活躍を次の作品でも読んでみたいと

思います。

ぜひ、宮部ワールドへいらっしゃーい。「うへえ!」


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『剣の天地』 (けんのてんち)

池波 正太郎 (いけなみ しょうたろう)


面白さ ★★★☆☆(ホシ三つ)

歴史小説+剣豪小説、池波節の面白さ


作者/池波正太郎について


戦後を代表する、時代小説家・歴史小説家・劇作家であり、

美食家としても有名。


1923年、東京浅草生まれ。

様々な職業を経験した後。終戦を機に、

1946年、東京都職員となる。

1955年、文筆に専念するため、退職。


受賞歴は

1955年 『太鼓』で第2回新鷹会賞奨励賞

1957年 『錯乱』で第43回直木賞

1972年 『殺しの四人』で第5回小説現代ゴールデン読者賞

1973年 『仕掛針』で第7回小説現代ゴールデン読者賞

1977年 『市松小僧の女』で第11回吉川英治文学賞・第6回大谷竹次郎賞

1986年 紫綬褒章

1988年 第36回菊池寛賞


主な作品としては

鬼平犯科帳

剣客商売

仕掛人・藤枝梅安

真田太平記

雲霧仁左衛門


文章の達人で、名文を書き、セリフが上手い。

情景や人相などをくどくど描かずとも、行間で読ませる。

しゃべり口は、伝法な江戸っ子で、

鬼平犯科帳などに生かされている。


【この本の内容】


戦国時代の上州が舞台。

主人公は、上泉伊勢守秀綱。


前半は、戦国武将としての上泉伊勢守を描いている。

関東管領側の長野業政(箕輪城)を助け、

上州大胡城城主として戦っていた。

北条氏康、武田信玄を向こうに回し、

「上州の一本槍」として大いに武名を上げる。


後半は、長野業政の死を契機に、

念願の一介の剣士として、剣の道に邁進する。


上泉伊勢守は、新陰流の創始者として有名です。

塚原ト伝、愛洲移香斎久忠の教えを受け、

その後、工夫を重ね、新陰流を編み出したのです。


宿敵として、十河九郎兵衛高種を登場させ、

ラストシーンまで、因縁の戦いが続きます。


また、弟子としては、柳生但馬守宗巌との

交流が中心となります。

特に柳生但馬守に、無刀取りを工夫させるところが

ヤマ場となり、印加を受けた柳生但馬守は、

柳生新陰流を創始します。

その流れは、柳生兵庫介に受け継がれます。



女性との交流は、上泉伊勢守の女弟子・於富
との、つかの間のラブロマンス。(出来ちゃったロマンス)

この於富は、長野業政の娘で、戦国の女性として

剣の達人として描かれています。


全体が、ゆったりとした文体で、重厚な物語が展開されます。

よく知っている人達の名前が出てきますので、

楽しみながら読める本です。



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