『ぼんくら』
宮部 みゆき(みやべ みゆき)
面白さ ★★★☆☆(ホシ三つ)
宮部ワールド的キャラクターの面白さ
作者/宮部みゆきについて
1960年、東京深川生まれ。
法律事務所に勤務しながら、小説を書き始める。
ミステリー小説・時代小説や超能力を扱ったものも多い。
新しい工夫を取り入れており、「ブレイブ・ストーリー」のような
ファンタジー小説。
TVゲーム好きは有名で、ゲームになったものなどもある。
大沢在昌の事務所に京極夏彦とともに所属している。
オフィスの公式サイトの名前は、三人の名前を取って
「大極宮」としている。
ミステリーではあるが、ふんわりとした印象の文体で、
読み出すとやめられなくなる吸引力をもつ。
1987年- 「我らが隣人の犯罪」で第26回オール讀物推理小説新人賞受賞。
1988年- 『かまいたち』で第12回歴史文学賞佳作入選。
1989年- 『魔術はささやく』で第2回日本推理サスペンス大賞受賞。
1991年- 『龍は眠る』で第105回直木賞候補。
1992年- 『龍は眠る』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。
『本所深川ふしぎ草紙』により第13回吉川英治文学新人賞を受賞。
『返事はいらない』で第106回直木三十五賞候補。
1993年- 『火車』で第6回山本周五郎賞を受賞。同作で第108回直木賞候補。
1996年- 『人質カノン』で第115回直木賞候補。
1997年- 『蒲生邸事件』で第18回日本SF大賞受賞、第116回直木賞候補。
1998年- 『理由』で第120回直木賞受賞。同作で第18回日本冒険小説協会大賞国内部門大賞を受賞。
2001年- 『模倣犯』で第55回毎日出版文化賞特別賞を受賞。
2002年- 『模倣犯』で第5回司馬遼太郎賞と芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
2006年- 『名もなき毒』で第41回吉川英治文学賞を受賞。
【この本の内容】
場所は、深川北町の一角にある鉄瓶長屋。
初めて共同井戸の汲み替えをやったとき、赤くさびた鉄瓶が二つ出てきて以来、
この名で呼ばれている。
差配人・久兵衛が、つつがなく管理しており、また、煮売り屋のお徳が心としての
まとめ役を果たしていたので、長屋は平穏無事に日が過ぎておりました。
が、ある日、鉄瓶長屋で殺人事件が発生する。
この事件がきっかけで、差配人・久兵衛は、身を退く形で出奔してしまう。
その後任として、地主の湊屋総右衛門の遠縁にあたる若者・佐吉が
やって来て、新しい差配人となる。
主人公は、井筒の旦那こと、八丁堀の同心で、井筒平四郎。
面倒なことは大嫌いで、子供のような性格。
奥方は、元八丁堀小町といわれた美形。
面倒くさがり屋のせいか、同心なのに今まで面倒くさい事件には、
かかわったことがないという、非常に変わった御仁。
唯一の楽しみは、見回りの途中で寄る、お徳の店で食べる料理。
そんな中、よく出来た若者・佐吉が来て以来、鉄瓶長屋では、
小さな事件が立て続けに起こり、長屋の住人が、一人減り、二人減りと
くしの歯が抜け落ちるように、減っていきます。
さあ、これは偶然なのか?それとも、誰かの陰謀なのか?
一編、一編は、長屋を舞台にした人情劇なのですが、
ミステリーとして全てつながった長編小説になっているのです。
しかも、登場人物のキャラクターが異色です。私の好みです。
小平次/平四郎の中間。いつも合いの手は「うへえ」。
辻井英之介/平四郎の幼友達。あだ名は「黒豆」。
今は、腕のいい隠密廻り同心。
何かと探索で手助けをしてくれる。
弓之介/細君の次姉の子供。12歳。平四郎の甥になる。
人目を惹くほどの美形少年。
測量に凝っていて、何でも正確に目で測ってしまう特技を持つ。
平四郎に会う早々、
「叔父上さまの眉毛と眉毛の間は五分でございますね。」と言って、
面食らわせてしまう変わり者。平四郎は、いたく気に入る。
子供のいない細君は、弓之介を養子にしようとしている。
この弓之介が、平四郎について事件の探索に協力するが、
なかなかの探偵ぶりを発揮するのが、この小説の面白さでもある。
よって、このコンビは、次作「日暮らし」でも活躍する。
おでこ/本名は三太郎。12歳。
役者のように可愛い顔をしているが、額が異様に広い。
特技は、一度聞いたら覚えてしまうテープレコーダーのような
もの覚えの良さ。
深川の大親分 岡っ引きの茂七に大層可愛がられている。
事件も陰謀もそんなに大きなものではないのですが、次はどうなるのだろうと
期待をさせながら読み進めさせていく手際は、さすがです。
面白くて、「はんなり」とさせる小説です。
間違いなく、平四郎と弓之介のコンビの活躍を次の作品でも読んでみたいと
思います。
ぜひ、宮部ワールドへいらっしゃーい。「うへえ!」
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