冨山和彦『挫折力:一流になれる50の思考・行動術』のまとめ | 朝礼・商談・接待のネタ帳!ビジネス書を超読み解く

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いつも仕事が忙しいビジネスパーソンへ。本を読む時間のない人向けとして私が読んだビジネス書を解説をしています。

※要旨

・私はコンサルティングファームを経て、産業再生機構の仕事に携わり、
今でも企業の経営改革や再生を専門として手がけている。
産業再生の仕事はまさに、挫折からいかに立ち直ってもらうか、という仕事でもある。
この仕事から得られたことは、一度挫折を経験した企業が立ち直るのは困難ではあるが、
それが成功すればその企業は非常に強くなるということだ。

・現在のような時代にリーダーを目指すならば、
経営判断に伴う犠牲を一身に受け止めなくてはならない場面が必ず出てくる。
社内外から恨みを買うこともあるだろう。
そのような修羅場に耐え抜く能力が、リーダーには必要になる。

・挫折とは、ある意味、能力以上のことに挑戦した結果である。
それが人としての伸びしろとなる。
挫折すれば、反省し、学習もする。
けなされ、叩かれ、厭味を言われるし、人間同士のヒリヒリした場にも身を置くことになる。
むしろ、難局を切り抜ける貴重な経験になる。

・挫折は、劉邦、カエサル、ワシントン、チャーチルと、世界史を飾る有名人たちも同じ。
彼らの若い時代は、ほとんど敗北につぐ敗北、命拾いにつぐ命拾い。
挫折の繰り返しが、彼らをして後年、現実の改革や大事業を成し遂げる闘争能力を培ったのである。

・スタンフォード大学ビジネススクールへの留学を希望したのは、経営学を勉強したいというより、
戦略系コンサルティングにおける、ものの考え方の源を知りたかったからだ。
留学で学んだことには、面白いことも、そうでないこともあった。
競争戦略やマーケティング論、組織論は、正直ほとんど役に立たない、つまらない内容だった。
一方、金融学と経済学は、きちんとした学問ということもあり、面白かった。

・世界の権威とか、その道の大先生とか、全然気にすることはない。
極端な話、必死に自分の頭で考え、自分で仮説を生み出し、
挫折を繰り返しながらたどり着いた「自分流」こそ正解なのだ。
そしてこの過程において生まれた「勉強不足」の意識こそ、真の学ぶ姿勢である。
そこからの学びこそが、真の知識や知恵を私たちに与えてくれる。

・挫折は、決して恥ずかしく、抹消すべき体験ではない。
それを乗り越えた自分を描けるなら、履歴書の核になる。

・「悩んでいる暇があったら、とにかく働け」
元も子もないように思えるが、これも真実である。
悩むのに飽きたら、とにかくがむしゃらに働いてみる。
すると見えてくることがある。

・ユダヤの格言に、人生の最後に自問すべき命題として、
「お前はおまえ自身の人生を生きたか?」という言葉がある。

・組織を動かすとき重要なのが、それらの人々の「クセ」を見抜くことである。
例えば鉄鋼メーカーには、鉄鋼メーカーの思考の癖がある。
商社には商社の癖、電機メーカーには、そこの癖がある。
みな自分のやり方が普通で、正しいと思っている。

・このことは一つの会社内でも実は重要だ。
営業、製造、経理などの各部門によって、使う言葉や立場はまったく異なってくる。

・産業再生機構自体も、銀行員、コンサルタント、会計士、投資ファンド、弁護士、
労働組合、官僚など、非常に多様なバックグランドの人たちの寄せ集めだった。
当初は、そこから起因する軋轢や内部対立は日常茶飯事だった。
幸いCOOである私自身は、それまで同じような状況でいろいろ「痛い」経験をしてきたのと、
これらの職種の多くを自分自身、体験していた。
だから組織内部が対立から協調、団結へと転換するプロセスは、
ほぼ予想通りのシナリオでハンドリングすることができた。
おそらく肝心なのは、「相手に興味を持つ」ということなのだと思う。

・リーダーが組織を統率したり、会社の経営を行なったりするとき、理論や合理性は大事である。
経営において経済合理性は一つの指標であり、組織同士の戦いとなれば、勝つための理論付けが求められる。
売上と費用、資産と負債は冷徹な数字であり、金勘定の最後は血も涙もないメカニカルなものである。
同時に、情と理の使い分け、すり合わせの妙が、決定的に重要となってくる。

・経営に「解の公式」は存在しない。
危機の場面に直面したとき機能しないリーダーには、ある共通点がある。
それは、彼らの多くが、「解の公式」を求めたがる、ということだ。
世の中に、解の公式などない。
経営において「こうすれば必ず成功する」というパターンは存在しないのだ。

・リーダーがいかに人の心をとらえ、動かしていくかは、リーダーの経験による。
若いうちにより多く失敗し、挫折したリーダーほど心を推量しやすい。

・あえて教科書を読むとすれば、そいいう苦労をしながら、古典的な名著を読むことをすすめる。
文学、哲学、歴史学、政治学そして経営学、いずれの分野でも長年にわたり読みつがれているものは、
物事の本質、人間性の核心に近いことが書かれている。

・私や私より上の世代は、そのうちいなくなるか、力を急速に失っていく。
いい時代を生きてきた上の世代は、いざというときに意外と役にたたないはずだ。
幕末の直参旗本8万騎と大差ない。
あわてることはない、若者よ。
この不遇と閉塞の中で、せいぜい苦しみ、失敗し、心と体を鍛えておけ。
早晩、君たちの時代はやってくる。
そのとき、そうやって培った「挫折力」が必ず生きるはずだ。