これは、社会人になって20年、アルバイトを始めた学生時代も含め、そのほとんどを小売業(商売)で経験(アルバイト→社員→執行役員→起業)してきてトータル約25年になる僕が、ハッキリと結論を言い切ります。
<質問>
■「売り切れ」と「売れ残り」の評価優先順位は?
<答え>
■「売れ残り」の方を高く評価します!
答えは決まってるやん。間違い無く「売り切れ」より「売れ残り」を評価します。逆に言うと、「売り切れ」は小売業にとっては大大大問題で、めっちゃ最悪なことなんです。お店は絶対に品切れを起こしてはいけないんです。
<評価優先順位>
1.「売れ残り」・・・100個仕入れて、80個販売、20個残った。
2.「売り切れ」・・・50個仕入れて、50個完売。在庫は0個。
理由はわざわざ説明するまでもないですが、商売は「お客様が第一」なわけです。つまり、お客様にどう評価されるかが全てで、お店側の都合なんかは全部その次なわけです。
1.「売れ残り」・・・100個仕入れて、80個販売、20個残った。
→お客様にご迷惑は・・・かけていません!
2.「売り切れ」・・・50個仕入れて、50個完売。在庫は0個。
→買おうと思ったが、品切れで買えない。お客様にとっては迷惑な話。
(せっかく来店したのに。せっかくここで買おうと楽しみにしていたのに。)
→「売り切れ」「品切れ」=お客様が他店で購入する(既存顧客の離反)
小学生でもわかる簡単な話、だと思うんですが、こっからはとても不思議な話です。
こんな簡単な図式が、なぜだかわからない人達がたくさんいるんですよ。実に不思議なんですが。しかも大きな販売店になればなるほど、なんです。大きな販売店になると、販売する人と仕入れる人が違う部署で働きます。完全に分業されるんですね。その分業自体は効率的で効果的なんですが、その時に本来の目的やらをすっかり忘れて、全体の最適化(お客様が第一)より個人の最適化(お客様はどうでもいい、まず自分が第一)を考えて行動してしまうんです。
<とある有名販売店の仕入担当者の評価>
1.「売り切れ」・・・50個仕入れて、50個完売。在庫は0個。
→よくやった!完売おめでとう!
在庫リスクも無いし、在庫回転率もキャッシュフローも合格だ。
2.「売れ残り」・・・100個仕入れて、80個販売、20個残った。
→何やってんだ!残った20個の在庫ロスどうするんだ!
お前は在庫回転率やキャッシュフローを何だと思ってるんだ!バカヤロー!
まったくお客様を見ていない人が「自分の仕事」(個人の最適化)だけをするとこうなります。完全に間違った方向性に進むんですが、本人達や会社はまったく気付いていません。なぜ気付かないかと言うと、大手販売店ほどPOSデータに頼りっきりになる傾向があるからです。
そもそも「POSシステム」は「Point of sale system」で販売時点情報管理と呼ばれるもの。つまり、販売が成立したデータであって、販売が未成立(お客様が購入にいたらなかった)のデータはまったく無いんですね。(←ここが落とし穴)
さきほどの例で言うと、POSデータでは、
50個仕入れて、50個販売、在庫0、はデータとして出ますが、未成立(品切れによる販売機会ロス)30件、とはデータとして全く出てこないのです。
うーーーん。
キャッシュフローの改善(在庫回転率アップなど)は、在庫ロスを減らすよりまず、売上を上げればいいんですよね。お客様を増やせばいいんです。在庫があれば増やせるんですよ。無いものは売れないけど、あるものは工夫次第でいくらでも売るチャンスがあります。
■在庫はリスクだ!在庫は最悪だ!
ってよく聞きますが、
■品切れはリスクだ!品切れは最悪だ!
って何で誰も言わないのかなー。そっちの方がよっぽど怖いんですけどねー。