こんにちは。
「Winny」を観ました。
実話をもとにした映画です。
とても心を揺さぶられました。
公式サイト…
あらすじ
天才プログラマーの金子勇は、ファイル共有ソフト「Winny」を開発。試用版をインターネットの掲示板「２ちゃんねる」で無料公開。（2002年）
多くの人がWinnyを使用するが，中には悪用する者たちもいて逮捕される。開発者の金子勇（東出昌大）も任意で取り調べを受ける。
やがて、金子勇も逮捕される。（2004年）
パソコンにくわしい弁護士の壇俊光（三浦貴大）が、金子勇の弁護を引き受ける。
壇弁護士は言う。
「ナイフで人を刺したら、罪に問われるのは刺した人。ナイフを作った人は罪に問われない。Winnyを悪用した人は罪に問われるが、Winnyを作った人を罪に問うのは、まちがっている」
「金子勇が有罪になったら、これから開発者たちが委縮してしまい、新しい技術が作れなくなる。未来にかかわる重大な裁判だ」
しかし、裁判（第一審）では理解されず、有罪判決が出てしまう。そして…。
何よりも金子さんの善良さ、優しさに胸を打たれた。
しかし、あまりにも金子さんは素朴に善良すぎて、警察の取り調べに「協力しよう」と思い、うその調書を作らせてしまう。
取り調べの警察官はうそを言うわけだが、金子さんはそんなことがあるとは夢にも思わなかったのだろう。取り調べの警察官にうそを言われてだまされるなんて。
胸が痛む。
どうして、そんな世の中なのか。
一方で、愛知県警の中では組織ぐるみで不正な会計処理が行われていた。上司に指示されたら部下は不正な会計処理をしなくてはならなかった。
しかし、1人だけ指示に従わず、不正をしなかった警察官がいた。仙波敏郎さんだ。仙波さんは、やがて黙っていられなくなり、告発する。
その仙波さんは尾行されたり石を投げられたり、脅迫電話がかかってきたり、攻撃される。
善良で勇気のある人が、危険な目にあうのだ。
当時の愛知県警では、会計の不正処理をしていた人のの方が安全で、出世もできたのだった。
仙波さんも実在の人物で実話だ。
なんということだろうか。
でも、そういうことはたくさんあるよなあ。
身近なところでも、大きな事件でも…。
身近なところの善良な人々の顔が浮かび、その人たちの社会での扱われ方を思い出し、もう、泣けてきて泣けてきて…。
金子さんの善良さを理解した壇弁護士は、心から金子さんの味方となる。
金子さんの無罪を証明するために、奔走する壇弁護士。
壇さんの気持ちは金子さんにも伝わる。
金子さんに理解者がいてよかった。
二人のやり取りに、真心がにじみ出ていて泣いた。
２ちゃんねるの人たちも、金子さんを応援する。
たくさんの義援金が送られてきたシーンも泣いた。
みんな、匿名でお金を送ってきたのだ。
励ましの言葉とともに。
２ちゃんねるの人たちは、金子さんの無実を知っていたのだ。
子ども時代の金子さんが星空に感動したシーン、大人になった金子さんが空を見上げるシーンもよかった。
金子さんは天才だったそうだ。
他の人が2年かかるプログラムを半年で開発してしまうような。
その「稀代の天才を警察が、つぶした」と言われている。
(最高裁で逆転無罪を勝ち取るまで7年かかり、その少し後に倒れて、金子さんは42歳の若さで他界してしまった）
それは確かにとても残念なことだった。
でも、それよりも何よりも、私は、金子さんの善良さが世の中で大切にされなかった、そのことに慟哭する思いだった。
途中から、最後までずっと泣きながら観た。
こういうこと、ある…。
なんという世の中だろうか。
こんなことが起きてしまう。
善良な人の、その善良さを大切にできたらいいのに。
大切にしてほしい。
金子さんは自分が逮捕されたり起訴されたりしたことよりも、
「これからの日本がよくなるように」
「開発者がのびのび開発できるように」
「逮捕されるとおびえて開発できなくなったらいけない」
その気持ちで裁判にのぞんでいた。
自分の利益より、日本の未来。若い人たちの未来。
落ち込む壇弁護士を、笑顔で励ます金子さんの姿にも泣いた。
いちばん大変なのは金子さんなのに。
パソコンに詳しくない私だが、最初から最後まで集中して観ることができる作品だった。
金子さんをおとしいれた取り調べの人も、愛知県警で不正処理をした人たちも、「そうしないとこの社会では生きていけない」と思い込まされて、そうするようになったのかもしれない。
赤ちゃんのときから「将来は、人を無実の罪でおとしいれるぞ！」「会計で不正処理をする人になるぞ！」と決めてきた人はいないと思うから。
生まれてきて、大人になるまでに、いろいろな目にあい、だんだん、心無いことをしてしまう状態になっていったのだろうと思う。
そのことも悲しい。
そうならずに済む社会にしていきたい。
金子さんや仙波さんは、大変な目にあったけれど、そこで自分の進む道を選び取った。
「未来がよくなるように」「これからの若い人たちのために」道を選んだ。
たとえ困難であろうとも。
不遇な目にあっても、金子さんや仙波さんがしたことは、尊い。
善良な人の善良さを、私は大切にしたい。
善良でも生きていける世の中を少しでも作っていきたい。
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