フェロモンというと“異性を惹きつける匂い”

を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

けれどフェロモンとはこれに限らず、

特定の行動や生理的な反応を本能的に引き起こす化学物質全般を

フェロモンと呼ぶそうです。

性フェロモンのほかに敵と味方を見分けたり、

道標を残したりとさまざまなフェロモンがあります。

最初は一匹だった蜂や蟻が気づけば群がっているのは、

フェロモンによって導かれたからです。

 

ちなみに、人間にはフェロモンは無いとされていました。

他の哺乳類にはあるフェロモンを感知する器官、

鋤鼻器を持っていないからです。

けれど最新の研究では、鋤鼻器だけではなく嗅覚器からも

フェロモンを感じ取れる可能性があると分かってきました。

そのため、近年は人もフェロモンを分泌しているとされています。

まだ解明されていないことが多く、研究途上ではありますが、

そうした物質であろう分泌物もいくつか特定されています。

 

集団生活の中で女性の生理周期が揃ってきたり、

一番遺伝子のタイプが自分と違う異性の体臭を好んだり、

こうした事はフェロモンの作用の1つではないかと言われています。

 

そしてつい最近、

女性の涙に男性の攻撃性を抑制する化学物質が含まれていることが

発表されました。

 

 

怒っている男性の前で女性が泣いてみせる行為は、

科学的にもある程度効果的なのですね。

 

以前、

ピンク色には攻撃性を抑制する効果がある話をしましたが、

興奮状態で攻撃性が高まっている男性を、

ピンク色の部屋で女性の涙の成分を嗅いでもらうと、

気持ちが沈静化して落ち着くかもしれませんよね。

 

けれど人は、虫や鋤鼻器のある動物たちに比べると

フェロモンを感知する能力は退化しています。

だからこそ、人のフェロモンの解明が進めば、

穏やかな作用による感情や行動のコントロールに

役立つかもしれませんよね。

 

すごく緊張し過ぎる場面でリラックスできたり、

感情の昂りを抑えたり、

落ち込む気分を和らげたり、

色々な可能性が考えられます。

 

私の場合は、一度集中が切れるとその後なかなか

回復せずにぐうたらしてしまうのを、何とかできると

良いのになぁと思います。

でも、そういうのは都合良くはいきませんよね。

 

ちなみに、男性の攻撃性を抑制する女性の涙ですが、

男性の涙には逆の作用があるようです。

ただし、マウスの話ですが。

オス同士だと、攻撃性を高めてしまうそうです。

 

同じ物質でも違う作用をもたらすことって、

結構多いのかと思いました。

以前触れましたが、オキシトシンは

メダカの場合はオスとメスで働きが逆になりますし、

人は身内に関しては仲間意識が芽生えて、心穏やかになりますが、

他者と認識した相手には排他的で攻撃的になります。

 

 

 

フェロモンも、時と場合と相手によって

作用が変わるケースが色々とありそうですね。

こうしたことが少しずつ解明されていくと、社会に役立つのでしょうが、

その前に、まずは妄想の世界が広がっていきそうです。