献食菜集 -162ページ目

ベルセウス座 流星群

さきほどから
はるか 遠い夏の夜空の
星星のあいだを


流星の 白い光と 軌跡の
目の覚めるような一瞬が


あちらこちらで突然
生まれるのを
屋根に 寝転び 凝視している


この屋根よりそれほど遠くないところを
白いもや雲が
強い涼しい風とともに
頭上を通っていく


あれは魂達の帰省か


ガラスで隔たれた
水族館の大きな魚達と
こちら側と
どちらもが お互いを 見あっている
ように


私は もや雲を 見上げ
もや雲は 屋根の上の私を 見ながら
北にむかって消えて行った


とおい何光年もの 深みのある背景では
変わらぬ位置に
星が光っている


人間が月に行ったなんて
ちゃんチャラおかしいのである


強欲な人間が
まったく相手にしてもらえない
宇宙にむかって
毒づいた だけのこと


ひとの強欲は 重すぎて この地球から
離れることは
無理

です


燃焼による 超高温と 発光が
気の遠くなるような 距離の

伸びやかで まっすぐな
流星とその軌跡を生み


その凄まじい エネルギーは
一瞬 にして
消失する


白くきらきらの軌跡は
漆黒の深みと 私の記憶に
切りつけてきた































ものほし台のほし


物干し台で星を見る


快晴のよぞらに
小さいがよくかがやく 4つの衛星と
線上に並ぶ 

木星を見る


すこしづつ望遠鏡をうえにずらしていく
ここにもあそこにも
小さく暗いが
肉眼では 見えないが

名前なんか まったく知らないが
星がいっぱいある


くらやみの奥のほうで
あっというまに
星がひとつ流れた


瞬間の願い事で
自分の本心を 知ってしまった


なんとスケールの小さいこと


おもいなおし
もういちど木星を見ようと
望遠鏡をもどすが見えない


軒のむこうにいってしまった


なんと小さな物干し台



















忘れていたこの暑さ

朝9時からお昼まで壁画を作る
午後1時から5時までモザイク壁画を作る


白い大理石をわり黒い大理石を割り
モルタルで接着する


工房の外は空高いところから
8月の太陽がエネルギーを遠慮なく
分けてくれて


さっきまいた水もまさに
焼け石に水となる


1センチ角に割られた石をさらに半分
プツップツッと
三角に半分
4分の一の正方形に
ハンマーでわる


あまりに暑いので手から汗にじみでて
あっというまに手は白黒


雑木林を通り斜面の雑草をなぎながら
夏の風が吹いてきた

5年ぶりに作る壁画
忘れがたい8月になる



















ひさしぶりです

長年の風雨にさらされ
ざらざらになった
コンクリートでできた狭い道路


バイパスへのいりぐち
さかみち

今日は休日で自動車は締め出され
露店がのきを連ねる


ここはバイパスのいりぐち
自動車専用道路なのに
歩行者天国ですか


自動車で乗り込んだはずの私も
いつのまにか歩いている


小さな鉢植えを
かなりでたらめにならべ売っている
若者たちの店と狭い道路の防護壁との間を
すり抜けて坂道を登る


札幌オリンピックのジャンプ台の
ような坂道は
どんどん山を登っていく


赤い松が道路の両側から
張り出しているところで
知り合いの男に偶然出会う


おんなにふられたというが
まあそんなにガッカリするなよと言い
二人で坂道を登っていく


風雨にさらされたコンクリートの
路面はザラザラして
登りやすいバイパスです

近道を案内してくれて
どうも
ありがとう






















夏は ヒグラシ

ひぐらしは高級ゼミ

私にとっては高級ゼミ


東京ではこの高級が
森さえあればかまわず
ないているので 
嬉しいかぎり


私の田舎では山深いところ
渓流とセットのひぐらし


あちこちから友人たちが作るカレーと
こげたご飯のにおい

体中がべたついて
食べるキャンプのカレー


カナカナとは聞こえない
ヒヒヒヒヒと聞こえる


この鳴き声がセミだと知ったとき
いっぺんに好きになった


旅先。熊本の久木野村のヒノキ林で
緑のからだ、透明の羽
金属のような鳴き声


初めておめにかかりました

ますます好きになりました


ヒヒヒヒヒ
高級な夕暮れ