『ヒトガタ』

ヒールをカツカツといわせて
田んぼの横の
フンの匂いがする道路に
きつい香水を混ぜ込んで
夕暮れを待つ
手綱を引く
小太りのだらしない体を
左へ左へ寄せては返す
波のはやさは
体内のながれと
一致するときがある
そう思った内海は
横断歩道を三度渡ったところに

眼球の
光を跳ね
液は
体内を満たす
愛しているという言葉を
嘘だと言い返したかった日
射抜く
監視され
愛し合う
きつい香水を嗅いで
愛し合う
ふざけた顔をなめて愛し合う
袖をつかんで離さない

この顔を見て
このまるい目を見て
たくさんの色が
混じり合って成り立っている
胸の中を注意深く見て
くだらないことを
きいては 
きこえている顔をする
名を探さないで
もうすぐ、もうすぐもうすぐ
わたしたちは重なって 
ひとつのヒトガタになって
けっかんという部品ごと
熱い道路に倒れこみ
溶け  沈んでいく
このどすぐろい熱に魅了され
顔をなくせと
叫ぶ
黙々
恥ずかしさのあまり
赤面する